专利摘要:
本発明は、肺癌を検出するための方法、核酸及びキットを提供する。本発明は、メチル化パターンが上記障害の検出改善に有用なゲノム配列を開示し、これによって患者の診断及び治療の改善が可能になる。なし
公开号:JP2011505812A
申请号:JP2010537317
申请日:2008-12-11
公开日:2011-03-03
发明作者:シュレーゲル,トーマス;ディートリッヒ,ディモ;ディストラー,ユルゲン;テツナー,レイモ;リーベンベルグ,フォルカー;レヴィン,ヨルン
申请人:エピゲノミクス アーゲー;
IPC主号:C12Q1-68
专利说明:

[0001] 本発明は、正常な状態に比べて疾患状態において発現パターンの変化を示すゲノムDNA配列に関する。特定の実施の形態が、細胞増殖性障害を検出又は診断するのに有用な方法、核酸、核酸アレイ及びキットを提供する。]
背景技術

[0002] CpGアイランドメチル化。突然変異は別にして、CpGアイランドの異常なメチル化によって、これまでに癌を含む様々な細胞増殖性障害の発症に関係するとされる或る特定の遺伝子の転写サイレンシングがもたらされることが示されている。CpGアイランドは、CpGジヌクレオチドに豊富にある短い配列であり、通常全てのヒト遺伝子のおよそ50%の5'領域で見出すことができる。これらのアイランドにおけるシトシンのメチル化は、遺伝子発現の欠失をもたらし、X染色体の不活性化及びゲノムインプリンティングで報告されている。]
[0003] 医学的検査の発展。 任意の医学的スクリーニング又は診断検査の2つの鍵となる評価基準は、感度及び特異度であり、これらによって、どのくらい良好に試験を行い、例外なく、また誤って標的疾患ではない(予測値を有しない)個体を包含することなく、全ての罹患個体を正確に検出することができるかが評価される。歴史的に、感度及び特異度が低いため、多くの診断検査が批判されている。]
[0004] 真陽性(TP)結果は、検査が陽性であり、且つ症状がある場合である。偽陽性(FP)結果は、検査が陽性であるが、症状がない場合である。真陰性(TN)結果は、検査が陰性であり、且つ症状がない場合である。偽陰性(FN)結果は、検査が陰性であるが、症状がない場合である。これに関して、感度=TP/(TP+FN)、特異度=TN/(FP+TN)、及び予測値=TP/(TP+FP)である。]
[0005] 感度は、検査する個体において標的疾患を正確に検出する検査能の評価基準である。感度が低い検査では、偽陰性、即ち疾患であるのに、この特定の疾患ではないと誤って同定される個体の割合が高くなる。偽陰性の潜在的な危険性は、罹患個体が一定期間、診断及び治療されず、その間に疾患が後期に進行し、そのような場合に治療の効果が低くなる可能性があることである。感度が低い検査の例は、HIVに関するタンパク質ベースの血液検査である。この種の検査は、疾患が確定され、相当数のウイルスが血流に侵入するまでウイルスの存在を検出することができないため、低感度を示す。これに対して、感度が高い検査の例は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用したウイルス量(viral-load)検出である。この種の検査は、ごく少量のウイルスを検出することができるために、高感度が達成される。結果として診断を誤る可能性が高い場合に、高感度は特に重要である。]
[0006] 他方で特異度は、疾患状態にない患者を正確に同定する検査能の評価基準である。特異度が低い検査では、偽陽性、即ち疾患であるとして誤って同定される個体の割合が高くなる。偽陽性の難点は、付帯リスク、感情及び金銭的なストレスを伴い、且つ患者の健康に対して悪影響を与える可能性がある、不必要な医療処置、治療を受けることを患者に強いることである。特異度が高い診断検査を開発することを難しくしている疾患の特徴は、特に細胞増殖性障害における疾患機構に複数の遺伝子及びタンパク質が関与することが多いことである。さらに、疾患状態に関係のない理由から或る特定のタンパク質が上昇する可能性がある。さらなる診断法又はさらなる医学的介入に関連するコスト又はリスクが非常に高い場合に、特異度は重要である。]
発明が解決しようとする課題

[0007] 本発明は、被験者において細胞増殖性障害、好ましくは表2に記載の障害、最も好ましくは肺癌を検出又は識別する方法であって、発現レベルを決定することを含み、発現レベルを決定することは、上記被験者から単離した生体試料において、FOXL−2、ONECUT1、TFAP2E、EN2−2、EN2−3、SHOX2−2及びBARHL2から成る群から選択される少なくとも1つの遺伝子又はゲノム配列のメチル化のレベル及びパターンを決定することも含み、高メチル化及び/又は低発現が、上記障害の存在の指標となる、被験者において細胞増殖性障害、好ましくは表2に記載の障害、最も好ましくは肺癌を検出又は識別する方法を提供する。]
課題を解決するための手段

[0008] 本発明の様々な態様は、有効且つ特有の遺伝子マーカーを提供し、これにより上記マーカーの発現解析によって、特に高い感度、特異度及び/又は予測値での細胞増殖性障害、好ましくは表2に記載の障害の検出を可能にする。肺腺癌、大細胞肺癌、肺扁平上皮癌、小細胞肺癌から成る群から選択される肺癌が好ましい。]
[0009] 一実施の形態では、本発明は、被験者において細胞増殖性障害、好ましくは表2に記載の障害(最も好ましくは肺癌)を検出する方法であって、上記被験者から単離した生体試料において、FOXL−2、ONECUT1、TFAP2E、EN2−2、EN2−3、SHOX2−2及びBARHL2から成る群から選択される少なくとも1つの遺伝子又はゲノム配列の発現レベルを決定することを含み、低発現及び/又はCpGメチル化が、上記障害の存在の指標となる、被験者において細胞増殖性障害好ましくは表2に記載の障害(最も好ましくは肺癌)を検出する方法を提供する。一実施の形態では、上記遺伝子から転写されるmRNAの有無又はレベルを検出することによって、上記発現レベルを決定する。さらなる実施の形態では、上記遺伝子によってコードされるポリペプチド又はその配列の有無又はレベルを検出することによって、上記発現レベルを決定する。]
[0010] さらに好ましい実施の形態では、上記遺伝子内のCpGメチル化の有無又はレベルを検出することによって、上記発現を決定し、低発現(CpGメチル化の存在又は或る特定レベルのメチル化の存在により示されると理解される)が細胞増殖性障害、好ましくは表2に記載の障害(最も好ましくは肺癌)の存在を示す。]
[0011] 上記方法は、i)好ましくはヒト被験者である被験者から得られた生体試料(好ましくは、細胞若しくは細胞株、組織断片、生検、パラフィン包埋組織、体液、射精液、尿、血漿、血清、全血、単離血球、唾液及び気管支鏡検査(気管支洗浄、気管支肺胞洗浄、気管支擦過及び気管支掻爬を含むが、これらに限定されない)で得られる生体物質から成る群から選択される)から単離したゲノムDNAを、ゲノムDNAの少なくとも1つの標的領域内でメチル化CpGジヌクレオチドと非メチル化CpGジヌクレオチドとを識別する、少なくとも1つの試薬又は試薬群に接触させる工程であって、標的領域が研究対象領域であり、上記標的領域のヌクレオチド配列が、FOXL−2、ONECUT1、TFAP2E(プロモータ又はその調節因子を含む)、及びEN2−2、EN2−3、SHOX2−2及びBARHL2から成る群から選択される少なくとも1つの遺伝子又はゲノム配列のCpGジヌクレオチド配列を少なくとも1つ含む、接触させる工程と、ii)細胞増殖性障害、好ましくは少なくとも部分的に表2に記載の障害(最も好ましくは肺癌)を検出する工程とを含む。好ましくは標的領域は、上述の群から選択されるゲノム配列内に位置する。標的領域は、配列番号1〜配列番号7の少なくとも16個の連続したヌクレオチドの配列を含むか、又はストリンジェントな条件下でこれとハイブリダイズするのが好ましい。]
[0012] 好ましくは、上記検出の感度は、約75%〜約96%、又は約80%〜約90%、又は約80%〜約85%である。好ましくは、特異度は、約75%〜約96%、又は約80%〜約90%、又は約80%〜約85%である。]
[0013] 上記の遺伝子の使用は、任意の遺伝子発現の解析、mRNA発現解析又はタンパク質発現解析によって可能になる。しかしながら、本発明の最も好ましい実施の形態では、細胞増殖性障害、好ましくは表2に記載の障害(最も好ましくは肺癌)の検出は、FOXL−2、ONECUT1、TFAP2E(プロモータ又はその調節因子を含む)、及びEN2−2、EN2−3、SHOX2−2及びBARHL2から成る群から選択される少なくと1つの遺伝子又はゲノム配列のメチル化状況の解析によって可能になる。]
[0014] 本発明は、細胞増殖性障害、好ましくは表2に記載の障害(最も好ましくは肺癌)の発症に関連する特徴に関して生体試料を解析する方法であって、配列番号1〜配列番号7の核酸又はその断片を、ゲノム配列内でメチル化CpGジヌクレオチドと非メチル化CpGジヌクレオチドとを識別することができる試薬又は試薬群に接触させることを特徴とする、方法を提供する。]
[0015] 本発明は、細胞増殖性障害、好ましくは表2に記載の障害(最も好ましくは肺癌)の発症に関連するゲノムDNAのエピジェネティックパラメータを確認する方法を提供する。この方法は、上記疾患の検出及び診断の改善に有用である。]
[0016] 好ましくは、検査試料の供給源は、細胞若しくは細胞株、組織断片、生検、パラフィン包埋組織、体液、射精液、尿、血漿、血清、全血、単離血球、唾液及び気管支鏡検査(気管支洗浄、気管支肺胞洗浄、気管支擦過、気管支掻爬を含むが、これらに限定されない)で得られる生体物質並びにこれらの組合せから成る群から選択される。より好ましくは、試料型は、血漿、唾液及び気管支鏡検査(気管支洗浄、気管支肺胞洗浄、気管支擦過及び気管支掻爬を含むが、これらに限定されない)で得られる生体物質並びにこれらの可能な全ての組合せから成る群から選択される。]
[0017] 具体的に本発明は、診断ツールにおける使用に適した、細胞増殖性障害、好ましくは表2に記載の障害(最も好ましくは肺癌)を検出する方法であって、ゲノム核酸(複数可)を含む生体試料を得ること、核酸(複数可)又はその断片を、対象となる核酸の標的配列内でメチル化CpGジヌクレオチド配列と非メチル化CpGジヌクレオチド配列とを識別するのに十分な1つの試薬又は複数の試薬に接触させることであって、標的配列が、配列番号1〜配列番号7の少なくとも16個の連続したヌクレオチドを含む配列を含むか、若しくはストリンジェントな条件下でこれとハイブリダイズし、上記連続したヌクレオチドがCpGジヌクレオチド配列を少なくとも1つ含む、接触させること、並びに少なくとも一部上記識別に基づき、上記標的配列内の少なくとも1つのCpGジヌクレオチドのメチル化状態若しくはその平均、又は対象となる核酸の上記標的配列内の複数の標的CpGジヌクレオチドの平均メチル化状態を反映する値を決定することであって、標的配列が、配列番号1〜配列番号7の少なくとも16個の連続したヌクレオチドを含む配列を含むか、若しくはストリンジェントな条件下でこれとハイブリダイズし、上記連続したヌクレオチドがCpGジヌクレオチド配列を少なくとも1つ含む、決定することを含む、診断ツールにおける使用に適した、細胞増殖性障害、好ましくは表2に記載の障害(最も好ましくは肺癌)を検出する方法を提供する。]
[0018] 好ましくは、標的配列内のメチル化CpGジヌクレオチド配列と非メチル化CpGジヌクレオチド配列との識別は、少なくとも1つのこのようなCpGジヌクレオチド配列を、配列番号8〜配列番号35から成る群から選択される配列内の対応する変換ジヌクレオチド配列又は非変換ジヌクレオチド配列、及び標的配列に対応するその連続した領域へメチル化状態依存的に変換又は非変換することを含む。]
[0019] さらなる実施の形態によって、細胞増殖性障害、好ましくは表2に記載の障害(最も好ましくは肺癌)を検出する方法であって、対象となるゲノムDNAを有する生体試料を得ること、ゲノムDNAを抽出すること、ゲノムDNA又はその断片を1つ又は複数の試薬で処理することであって、5位の非メチル化シトシン塩基を、ウラシル塩基又はハイブリダイゼーション特性に関してシトシンと異なることが検出可能な別の塩基に変換する、処理すること、処理ゲノムDNA又はその処理断片を、増幅酵素及びそれぞれの場合、配列番号8〜配列番号35から成る群から選択される配列に相補的であるか、又は適度にストリンジェントな条件若しくはストリンジェントな条件下でこれとハイブリダイズする少なくとも9ヌクレオチド長の連続した配列及びその相補体を含む少なくとも2つのプライマーに接触させることであって、処理DNA又はその断片のいずれかを増幅して増幅産物を産生するか、又は増幅しない、接触させること、並びに上記増幅産物の有無又は特性に基づき、メチル化状態若しくは平均、又は配列番号1〜配列番号7の少なくとも1つ、しかしより好ましくは複数のCpGジヌクレオチドの平均メチル化レベルを反映する値を決定することを含む、細胞増殖性障害、好ましくは表2に記載の障害(最も好ましくは肺癌)を検出する検出方法が与えられる。]
[0020] 好ましくは、決定には、i)配列番号8〜配列番号35から成る群から選択される配列に相補的であるか、又は適度にストリンジェントな条件若しくはストリンジェントな条件下でこれとハイブリダイズする少なくとも9ヌクレオチド長の連続した配列及びその相補体を含む少なくとも1つの核酸分子をハイブリダイズすること、ii)固相と結合し、配列番号8〜配列番号35から成る群から選択される配列に相補的であるか、又は適度にストリンジェントな条件若しくはストリンジェントな条件下でこれとハイブリダイズする少なくとも9ヌクレオチド長の連続した配列及びその相補体を含む少なくとも1つの核酸分子をハイブリダイズすること、iii)配列番号8〜配列番号35から成る群から選択される配列に相補的であるか、又は適度にストリンジェントな条件若しくはストリンジェントな条件下でこれとハイブリダイズする少なくとも9ヌクレオチド長の連続した配列及びその相補体を含む少なくとも1つの核酸分子をハイブリダイズすると共に、少なくとも1つのこのようなハイブリダイズした核酸分子を、少なくとも1ヌクレオチド塩基伸長させること、並びにiv)増幅産物をシークエンシングすることから成る群から選択される少なくとも1つの方法の使用が含まれる。]
[0021] さらなる実施の形態によって、細胞増殖性障害、好ましくは表2に記載の障害(最も好ましくは肺癌)の解析(即ち検出又は診断)方法であって、対象となるゲノムDNAを有する生体試料を得ること、ゲノムDNAを抽出すること、配列番号1〜配列番号7から成る群から選択される1つ若しくは複数の配列、又はストリンジェントな条件下でこれとハイブリダイズする配列を含むゲノムDNA若しくはその断片を、1つ若しくは複数のメチル化感受性制限酵素と接触させることであって、ゲノムDNAを消化し消化断片を産生するか、又はそれによっては消化しない、接触させること、並びに少なくとも1つのこのような断片の有無又は特性に基づき、配列番号1〜配列番号7の少なくとも1つのCpGジヌクレオチド配列のメチル化状態若しくはその平均、又は複数のCpGジヌクレオチド配列の平均メチル化状態を反映する値を決定することを含む、細胞増殖性障害、好ましくは表2に記載の障害(最も好ましくは肺癌)の解析(即ち検出又は診断)方法が与えられる。好ましくは、上記決定前に、消化ゲノムDNA又は非消化ゲノムDNAを増幅する。]
[0022] さらなる実施の形態によって、配列番号1〜配列番号7内のシトシンのメチル化パターンの解析のために、新規のゲノム的且つ化学的に修飾した核酸配列、及びオリゴヌクレオチド、及び/又はPNA−オリゴマーが与えられる。]
[0023] さらなる実施の形態によって、新規の解析アッセイ、並びにプライマー及びブロッカー(blocker)の特定の有益な組合せ又はプライマー及びプローブが与えられ、これにより診断検査又は解析検査が特に良好に行われる。]
[0024] 定義
用語「実測値/期待値の比(Expected Ratio)」(「O/E比」)は、特定のDNA配列内のCpGジヌクレオチドの頻度を表し、それぞれの断片に関して[CpG部位の数/(C塩基の数×G塩基の数)]/バンド長に対応する。]
[0025] 用語「CpGアイランド」は、(1)0.6を超えた「実測値/期待値の比」に対応するCpGジヌクレオチド頻度を有し、且つ(2)「GC含量」が0.5を超える基準を満たすゲノムDNAの連続した領域を表す。CpGアイランドの長さは、いつもというわけではないが、典型的に、約0.2kb〜約1kb又は約2kbである。]
[0026] 用語「メチル化状態」又は「メチル化状況」は、DNA配列内の1つ又は複数のCpGジヌクレオチドでの5−メチルシトシン(「5−mCyt」)の有無を表す。DNA配列内の1つ又は複数の特定のCpGメチル化部位(それぞれが2つのCpGジヌクレオチド配列を有する)でのメチル化状態としては、「非メチル化」、「完全メチル化」及び「ヘミ−メチル化」が挙げられる。]
[0027] 用語「ヘミ−メチル化」又は「ヘミメチル化」は、1つだけの鎖がメチル化している二本鎖DNAのメチル化状態を表す。]
[0028] 本明細書で使用される場合、用語「AUC」は、曲線下面積の略語である。特に、AUCは、受信者動作特性(Receiver Operating Characteristic)(ROC)曲線下面積を表す。ROC曲線は、診断検査の異なり得る切点に関する、偽陽性率に対する真陽性率のプロットである。このプロットは、選択された切点に応じた感度と特異度との間のトレードオフを示す(任意の感度増大は、特異度の減少を伴う)。ROC曲線下面積(AUC)は、診断検査の正確性の評価基準である(面積が大きければ大きいほど良好であり、最適値は1であり、無作為検査は、面積が0.5の傾きに基づくROC曲線を有し、J.P. Egan. Signal Detection Theory and ROC Analysis, Academic Press, New York, 1975を参照されたい)。]
[0029] 用語「マイクロアレイ」は、当該技術分野で認識されるように、広く「DNAマイクロアレイ」と「DNAチップ(複数可)」の両方を表し、当該技術分野で認識される固体支持体を全て包含し、またその固体支持体に核酸分子を付加する方法、又はその固体支持体上で核酸を合成する方法を全て包含する。]
[0030] 「遺伝的パラメータ」は、その調節にさらに必要となる遺伝子及び配列の突然変異及び多型である。突然変異と規定されるものは、特に挿入、欠失、点突然変異、反転及び多型、特に好ましくは一塩基変異多型(SNP)である。]
[0031] 「エピジェネティックパラメータ」は特に、シトシンのメチル化である。しかし、さらなるエピジェネティックパラメータには、例えば記載の方法を使用して直接解析することはできないが、同様にDNAメチル化と相関するヒストンのアセチル化が含まれる。]
[0032] 用語「重亜硫酸試薬」は、本明細書に開示されるようにメチル化CpGジヌクレオチド配列と非メチル化CpGジヌクレオチド配列とを識別するのに有用である、重亜硫酸塩、二亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、又はこれらの組合せを含む試薬を表す。]
[0033] 用語「メチル化アッセイ」は、DNAの配列内の1つ又は複数のCpGジヌクレオチド配列のメチル化状態又はメチル化レベルを決定する任意のアッセイを表す。]
[0034] 用語「MS.AP−PCR」(メチル化感受性任意プライムポリメラーゼ連鎖反応(Methylation-Sensitive Arbitrarily-Primed Polymerase Chain Reaction))は、CpGジヌクレオチドを含有する可能性が最も高い領域に焦点を当てるのに高CGプライマーを使用して、ゲノムの広域精査を可能にする当該技術分野で認識される技術を表し、Gonzalgo et al., Cancer Research 57:594-599, 1997に記載される。]
[0035] 用語「MethyLight(商標)」は、Eadset al., Cancer Res. 59:2302-2306, 1999に記載の当該技術分野で認識される蛍光ベースのリアルタイムPCR法を表す。]
[0036] 本明細書で実施される、その実施形態における用語「HeavyMethyl(商標)」アッセイは、増幅プライマー間のCpG位置をカバーする、又は増幅プライマーによってカバーされる、メチル化特異的な遮断プローブ(本明細書でブロッカーとも称される)によって、核酸試料のメチル化特異的な選択増幅が可能になるアッセイを表す。]
[0037] 本明細書で実施される、その実施形態における用語「HeavyMethyl(商標)MethyLight(商標)」アッセイは、MethyLight(商標)アッセイを、増幅プライマー間のCpG位置をカバーするメチル化特異的な遮断プローブと組合せたMethyLight(商標)アッセイの変法である、HeavyMethyl(商標)MethyLight(商標)アッセイを表す。]
[0038] 用語「Ms−SNuPE」(メチル化感受性単一ヌクレオチドプライマー伸長)は、Gonzalgo & Jones, Nucleic AcidsRes. 25:2529-2531, 1997で記載された当該技術分野で認識されるアッセイを表す。]
[0039] 用語「MSP」(メチル化特異的PCR)は、Herman et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:9821-9826, 1996及び米国特許第5,786,146号明細書で記載された当該技術分野で認識されるメチル化アッセイを表す。]
[0040] 用語「COBRA」(複合重亜硫酸制限解析)は、Xiong & Laird, Nucleic AcidsRes. 25:2532-2534, 1997で記載された当該技術分野で認識されるメチル化アッセイを表す。]
[0041] 用語「MCA」(メチル化CpGアイランド増幅)は、Toyota et al., Cancer Res. 59:2307-12, 1999、及び国際公開第00/26401号パンフレットで記載されたメチル化アッセイを表す。]
[0042] 用語「ハイブリダイゼーション(hybridisation)」は、オリゴヌクレオチドと、二本鎖構造を形成する試料DNAにおいて一連のワトソン−クリック塩基対合に沿った相補的な配列との結合と理解される。]
[0043] 本明細書で規定される場合、「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」は、5×SSC/5×デンハート溶液/1.0%SDS中、68℃でハイブリダイズすること、及び0.2×SSC/0.1%SDS中、室温で洗浄することを伴うか、又は当該技術分野で認識されるその等価物(例えば、2.5×SSCバッファー中、60℃でハイブリダイゼーションを行った後に、低いバッファー濃度における37℃での幾つかの洗浄工程を行い、安定状態を保つ条件)を伴う。本明細書で規定される場合、適度にストリンジェントな条件は、3×SSC中、42℃での洗浄、又は当該技術分野で認識されるその等価物を含むことを伴う。塩濃度及び温度のパラメータを変更し、プローブと標的核酸との間に最適な同一性レベルを達成することができる。このような条件に関するガイダンスが、例えばSambrook et al., 1989, Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Press, N.Y.、及びAusubel et al.(eds.), 1995, Current Protocols in Molecular Biology,(John Wiley & Sons, N.Y.)at Unit 2.10によって当該技術分野で利用可能である。]
[0044] 用語「メチル化特異的制限酵素」又は「メチル化感受性制限酵素」は、その認識部位のメチル化状態によって選択的に核酸を消化する酵素を意味するものとする。認識部位がメチル化又はヘミメチル化されないと特異的に切断するこのような制限酵素の場合、切断が起こらないか、又は認識部位がメチル化されると効率は大幅に低減する。認識部位がメチル化されると特異的に切断するこのような制限酵素の場合、切断が起こらないか、又は認識部位がメチル化されないと効率が大幅に低減する。メチル化特異的制限酵素が好ましく、その認識配列は、CGジヌクレオチド(例えばcgcg又はcccggg)を含有する。シトシンがこのジヌクレオチドにおいて炭素原子C5でメチル化されても切断しない制限酵素が幾つかの実施形態でさらに好ましい。]
[0045] 「非メチル化特異的制限酵素」又は「非メチル化感受性制限酵素」は、効率がほぼ同一であるメチル化状態に関係なく核酸配列を切断する制限酵素である。これらは、「メチル化非特異的制限酵素」とも呼ばれる。]
[0046] 用語「ONECUT1、FOXL−2及びTFAP2E、EN2−2、EN2−3、SHOX2−2及びBARHL2から成る群から選択される少なくとも1つの遺伝子又はゲノム配列」は、その任意の転写変異型を含むものとする。さらに、複数のSNPが上記遺伝子内で知られているので、この用語は、その全ての配列変異型を含むものとする。]
[0047] 本明細書内でゲノム領域EN2−2、EN2−3及びSHOX2−2が言及される場合、これらの用語は、(表1に挙げられる)配列プロトコルに提示されるようなゲノム配列を表す。これらの領域は、EN2遺伝子又はSHOX2遺伝子に関連したCpGアイランドを表す。]
[0048] 本発明による方法のいずれかで解析され得る試料型は、細胞又は細胞株、組織断片、生検、パラフィン包埋組織、体液、射精液、尿、血漿、血清、全血、単離血球、唾液及び気管支鏡検査(気管支洗浄、気管支肺胞洗浄、気管支擦過、気管支掻爬を含むが、これらに限定されない)で得られる生体物質を含む群からのいずれか、並びにそれらの組合せであり得る。より好ましくは、試料型は、血漿、唾液及び気管支鏡検査(気管支洗浄、気管支肺胞洗浄、気管支擦過及び気管支掻爬を含むが、これらに限定されない)で得られる生体物質並びにこれらの全ての可能な組合せから成る群から選択される。]
[0049] 本発明による方法のいずれかで解析され得る試料型は血流で得られる流体群に属するのが好ましい。]
[0050] また本発明による方法のいずれかで解析され得る試料型は肺で得られる生体試料群に属するのが好ましい。そのため用語「肺で得られる生体試料」は肺の気管支系から得られる流体及び/又は細胞を含むものとする。肺で得られるこのような生体試料は、外部流体を添加することなく被験者(例えば患者)から採取してもよく、この場合の典型的な試料型は唾液、気管若しくは気管支流体、呼気流体、擦過液(brushings)又は生検である。しかしながら、気管支系由来のこのような流体は、外部流体を添加した後、又は外部流体で洗い流した後に採取してもよく、この場合の典型的な試料は例えば、誘発唾液、気管支洗浄液又は気管支肺胞洗浄液である。肺で得られるこのような生体試料は、機器(吸引カテーテル、気管支鏡、ブラシ、鉗子、吸水トラップ)の使用により又は機器を使用せずに採取してもよい。この方法は、既に任意のこのような材料から得られたDNAを解析するのに利用してもよい。]
[0051] 気管支系(「気道」とも呼ばれる)は、生物と環境(例えば気管、気管支、細気管支、肺胞管、肺胞)との間の空気(特に酸素及び二酸化炭素)の取り込み及び交換に関与する器官系であると理解される。]
[0052] 用語「気管支洗浄液(BL)」又は「気管支肺胞液(BAL)」は、医療処置に従って、BL及びBALを行って回収される流体の種類であると理解される。BL及びBALは、気管支鏡を、口又は鼻を介して肺へと通し、流体を肺の小部分に噴き付け、それから検査のために再び回収する、医療処置である。典型的にはBL/BALは肺疾患を診断するのに行う。特に、BALは、免疫系に問題がある人々の感染、人工呼吸器を装着した人々の肺炎、幾つかの種類の肺癌及び肺の瘢痕(間質性肺疾患)を診断するのに一般的に使用される。BALは、上皮内層液(ELF)の構成要素をサンプリングするのに、及び肺気道のタンパク質組成を決定するのに最も一般的な方法であり、肺におけるサンプリング細胞又は病原菌レベルによる免疫学研究に使用されることが多い。これらの例としてはT細胞集団及びインフルエンザウイルスレベルが挙げられる。]
[0053] BL及びBALは、洗い出される気管支系の領域(区域)と使用される流体量とが異なり、
BLはおよそ10mlの流体を使用して気管支に焦点を当て、
BALはより多量(約100ml)の流体を使用してさらに細気管支及び肺胞管へと到達する。]
[0054] 用語「気管支鏡検査」は、気道を観察し、肺疾患を診断する医学的検査を含むように理解される。また気管支鏡検査は幾つかの肺状態の治療中に使用され得る。]
[0055] また肺で得られる生体試料は、気管及び気管支系用の吸入カテーテルを用いて得ることができ、例えば肺から流体を吸引するための少なくとも1つの連続管腔を備える管状の可撓性吸入カテーテルを気管及び気管支系に挿入するのに使用することができる。]
[0056] 用語「肺癌」は、本明細書で肺癌の検出又は肺癌の診断に言及するときはいつでも、肺に位置する腫瘍で同定され得る肺腺癌;大細胞肺癌;肺扁平上非癌及び小細胞肺癌、並びに他の形態の珍しい癌型を含むものとする。]
[0057] 用語「メチル化」はシトシンメチル化又はCpGメチル化と理解されるような意味である。これらの用語は、CpGの文脈内のシトシンのC5原子でのメチル化を説明するのに使用される。]
[0058] 本発明は、被験者において細胞増殖性障害、好ましくは表2に記載の障害(最も好ましくは肺癌)を検出する方法であって、上記被験者から単離した生体試料においてFOXL−2、ONECUT1、TFAP2E(プロモータ又はその調節因子を含む)、及びEN2−2、EN2−3、SHOX2−2及びBARHL2から成る群から選択される少なくとも1つの遺伝子又はゲノム配列の発現又はメチル化レベルを決定することを含み、高メチル化及び/又は低発現が上記障害の存在の指標となる、被験者において細胞増殖性障害、好ましくは表2に記載の障害(最も好ましくは肺癌)を検出する方法を提供する。上記マーカーは、細胞増殖性障害、好ましくは表2に記載の障害(最も好ましくは肺癌)の診断に使用し得る。]
[0059] DNAの重亜硫酸修飾は、CpGメチル化状況を評価するのに使用される当該技術分野で認識されるツールである。5−メチルシトシンは、真核細胞のDNAにおける最も高頻度な共有結合的な塩基修飾である。5−メチルシトシンは、例えば転写調節、遺伝子インプリンティング、及び腫瘍形成に関与する。したがって、遺伝子情報の構成要素としての5−メチルシトシンの同定は非常に興味深い。しかし、5−メチルシトシンがシトシンと同じ塩基対合挙動をするので、シークエンシングでは5−メチルシトシンの位置を同定することはできない。さらに、5−メチルシトシンが保持するエピジェネティック情報は、例えばPCR増幅中に完全に失われる。]
[0060] 5−メチルシトシンの存在に関してDNAを解析する最も頻繁に使用される方法は、重亜硫酸塩とシトシンとの特異的反応に基づき、その後のアルカリ加水分解の際に、シトシンは、塩基対合挙動においてチミンに対応するウラシルに変換される。しかし重要なことに、5−メチルシトシンは、これらの条件下で非修飾のままである。結果として、ここでは標準的な当該技術分野で認識される分子生物学的技法を使用して(例えば増幅及びハイブリダイゼーション、又はシークエンシングによって)、そのままではハイブリダイゼーション挙動ではシトシンと区別することができないメチルシトシンを、残存シトシンとしてのみ検出することができるように、元のDNAを変換する。全てのこれらの技法は、異なる塩基対合性に基づいており、ここで十分に利用することができる。]
[0061] 感度に関して、従来技術は、アガロースマトリクスで解析するDNAを内包すること、それによりDNAの拡散及び再生を防ぐこと(重亜硫酸塩のみが一本鎖DNAと反応する)、及び全ての析出工程と精製工程とを迅速透析に置き換えることを含む方法によって規定される(Olek A, et al., A modified and improved method for bisulfite based cytosine methylation analysis, Nucleic AcidsRes. 24:5064-6, 1996)。このようにして、メチル化状況に関して個々の細胞を解析することが可能になり、方法の有用性及び感度が示される。当該技術分野で認識される5−メチルシトシンを検出する方法の概略は、Rein, T., et al., Nucleic Acids Res., 26:2255, 1998で与えられる。]
[0062] 幾つかの例外を除いて(例えばZeschnigk M, et al., Eur J Hum Genet. 5:94-98, 1997)、重亜硫酸技法は、現在研究においてのみ使用されている。全ての場合で、重亜硫酸処理後に、既知の遺伝子の短く特異的な断片を増幅し、完全にシークエンシングして(Olek & Walter, Nat Genet. 1997 17:275-6, 1997)、1つ又は複数のプライマー伸長反応を行い(Gonzalgo & Jones, Nucleic AcidsRes., 25:2529-31, 1997、国際公開第95/00669号パンフレット、米国特許第6,251,594号明細書)、個々のシトシン位置を解析するか、又は酵素消化によって処理する(Xiong & Laird, Nucleic Acids Res., 25:2532-4, 1997)。ハイブリダイゼーションによる検出も、当該技術分野で記載されている(Olek et al.,国際公開第99/28498号パンフレット)。さらに、個々の遺伝子に対するメチル化検出のための重亜硫酸技法の使用が記載されている(Grigg & Clark, Bioessays, 16:431-6, 1994、Zeschnigk M, et al., Hum Mol Genet., 6:387-95, 1997、Feil R, et al., Nucleic Acids Res., 22:695-, 1994、Martin V, et al., Gene, 157:261-4, 1995、国際公開第97/46705号パンフレット及び国際公開第95/15373号パンフレット)。]
[0063] 本発明は、配列番号1〜配列番号7内のCpGジヌクレオチド配列のメチル化状況を決定するための1つ又は複数のメチル化アッセイと組合せた重亜硫酸技法の使用を提供する。ゲノムCpGジヌクレオチドをメチル化又は非メチル化(代替的には、それぞれ上方メチル化及び下方メチル化として知られている)することができる。しかし、本発明の方法は、不均一性を有する生体試料(例えば体液検体、例えば肺で得られる生体試料、例えば唾液又は気管支洗浄液又は気管支肺胞洗浄液のバックグラウンド内の低濃度の腫瘍細胞)の解析に好適である。したがって、このような試料内のCpG位置のメチル化状況を解析する際、当業者は、メチル化状態に対して特定のCpG位置のメチル化のレベル(例えばパーセント、分数、比、割合又は程度)を決定するのに定量的アッセイを使用してもよい。したがって、用語「メチル化状況」又は「メチル化状態」は、CpG位置のメチル化度を反映する値、即ちメチル化レベルも意味するものとする。特に記述がない限り、用語「高メチル化」又は「上方メチル化」は、特定のカットオフ点のメチル化レベルを超えるメチル化レベルを意味するものとし、上記カットオフは、所定の集団に対する平均若しくは中央値のメチル化レベルを表す値であり得るか、又は最適化されたカットオフレベルであるのが好ましい。「カットオフ」は、本明細書で「閾値」とも称される。本発明との関連で、用語「メチル化」、「高メチル化」又は「上方メチル化」は、FOXL−2、ONECUT1、TFAP2E(プロモータ又はその調節因子を含む)、及びEN2−2、EN2−3、SHOX2−2及びBARHL2から成る群から選択される少なくとも1つの遺伝子又はゲノム配列内、及び(例えばプロモータ又は調節領域において)これらと関連する全てのCpG位置に対して、カットオフを超えるメチル化レベルが、0%(又はそれと同等の)メチル化であることを含むものとする。]
[0064] 本発明によれば、配列番号1〜配列番号7内のCpGジヌクレオチド配列のメチル化状況の決定は、細胞増殖性障害、好ましくは表2に記載の障害(最も好ましくは肺癌)の診断及び検出に有用である。]
[0065] メチル化アッセイ法。 様々なメチル化アッセイ法が当該技術分野で既知であり、本発明と併せて使用することができる。これらのアッセイによって、DNA配列内の1つ又は複数のCpGジヌクレオチド(例えばCpGアイランド)のメチル化状態の決定が可能になる。このようなアッセイは、数ある技法の中でも重亜硫酸処理DNAのDNAシークエンシング、(配列特異的な増幅のための)PCR、サザンブロット解析、及びメチル化感受性制限酵素の使用を伴う。]
[0066] 例えば、重亜硫酸処理を利用することによって、DNAメチル化パターンの解析及び5−メチルシトシン分布のためのゲノムシークエンシングを単純化している(Frommer et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:1827-1831, 1992)。さらに、重亜硫酸変換されたDNAから増幅したPCR産物の制限酵素消化、例えばSadri & Hornsby(Nucl. AcidsRes. 24:5058-5059, 1996)に記載されている方法、又は複合重亜硫酸制限解析(COBRA)(Xiong & Laird, Nucleic Acids Res. 25:2532-2534, 1997)を利用する。]
[0067] COBRA。 COBRA(商標)解析は、少量のゲノムDNAで特定遺伝子座のDNAメチル化レベルを決定するのに有用である定量的メチル化アッセイである(Xiong & Laird, Nucleic AcidsRes. 25:2532-2534, 1997)。要するに、制限酵素消化を利用して、重亜硫酸ナトリウム処理したDNAのPCR産物においてメチル化依存的配列差異を明らかにする。初めに、Frommer et al.(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:1827-1831, 1992)で記載された手法に従った標準的な重亜硫酸処理によって、ゲノムDNAにメチル化依存的配列差異を導入する。それから、対象となるCpGアイランドに特異的なプライマーを使用して、重亜硫酸変換したDNAのPCR増幅を行った後、制限エンドヌクレアーゼ消化、ゲル電気泳動、及び特異的な標識ハイブリダイゼーションプローブを使用した検出を行う。元のDNA試料のメチル化レベルは、広範なDNAメチル化レベルにわたって一次定量的に、消化及び非消化PCR産物の相対量で表す。また、この技法は確実に、顕微解剖したパラフィン包埋組織試料から得られたDNAに適用することができる。]
[0068] COBRA(商標)解析に典型的な試薬(例えば典型的なCOBRA(商標)ベースキットで見出され得るような)には、これらに限定されないが、特定遺伝子(又は重亜硫酸処理DNA配列若しくはCpGアイランド)に関するPCRプライマー、制限酵素及び適切なバッファー、遺伝子ハイブリダイゼーションオリゴヌクレオチド、対照ハイブリダイゼーションオリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチドプローブのためのキナーゼ標識キット、及び標識ヌクレオチドが含まれ得る。また、重亜硫酸変換試薬には、DNA変性バッファー、スルホン化バッファー、DNA回収試薬又はキット(例えば析出カラム、限外濾過カラム、アフィニティカラム)、脱スルホン化バッファー、及びDNA回収成分が含まれ得る。]
[0069] 好ましくは、「MethyLight(商標)」等のアッセイ(蛍光ベースのリアルタイムPCR法)(Eadset al., cell proliferative disorders, preferably those according to Cancer Res. 59:2302-2306, 1999に記載の)、Ms−SNuPE(商標)(メチル化感受性単一ヌクレオチドプライマー伸長)反応(Gonzalgo & Jones, Nucleic Acids Res. 25:2529-2531, 1997)、メチル化特異的PCR(「MSP」、Herman et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:9821-9826, 1996)、米国特許第5,786,146号明細書)、及びメチル化CpGアイランド増幅(「MCA」、Toyota et al., cell proliferative disorders, preferably those accroding to Cancer Res. 59:2307-12, 1999)を、単独で又は他のこれらの方法と組合せて使用する。]
[0070] 「HeavyMethyl(商標)」アッセイ法は、重亜硫酸処理DNAのメチル化特異的増幅に基づき、メチル化の差異を評価する定量的方法である。増幅プライマー間のCpG位置をカバーする、又は増幅プライマーによってカバーされる、メチル化特異的な遮断プローブ(本明細書でブロッカーとも称される)によって、核酸試料のメチル化特異的な選択増幅が可能になる。]
[0071] 本明細書で実施される、その実施形態における用語「HeavyMethyl(商標)MethyLight(商標)」アッセイは、MethyLight(商標)アッセイを、増幅プライマー間のCpG位置をカバーするメチル化特異的な遮断プローブと組合せたMethyLight(商標)アッセイの変法である、HeavyMethyl(商標)MethyLight(商標)アッセイを表す。HeavyMethyl(商標)アッセイは、メチル化特異的な増幅プライマーと組合せて使用することもできる。]
[0072] HeavyMethyl(商標)解析に典型的な試薬(例えば典型的なMethyLight(商標)ベースキットで見出され得るような)には、これらに限定されないが、特定遺伝子(又は重亜硫酸処理DNA配列若しくはCpGアイランド)に関するPCRプライマー、遮断オリゴヌクレオチド、最適化したPCRバッファー及びデオキシヌクレオチド、並びにTaqポリメラーゼが含まれ得る。]
[0073] MSP。 MSP(メチル化特異的PCR)によって、メチル化感受性制限酵素の使用と関係なく、CpGアイランド内の実質的に任意の群のCpG部位のメチル化状況の評価が可能になる(Herman et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:9821-9826, 1996、米国特許第5,786,146号明細書)。要するに、メチル化シトシンではなく、全ての非メチル化シトシンをウラシルに変換する重亜硫酸ナトリウムによってDNAを修飾し、その後非メチル化DNAに対してメチル化DNAに特異的なプライマーで増幅する。ごく少量のDNAしか必要としないMSPは、所定のCpGアイランド座の0.1%メチル化対立遺伝子に感受性であり、パラフィン包埋試料から抽出したDNAで行うことができる。MSP解析に典型的な試薬(例えば典型的なMSPベースキットで見出され得るような)には、これらに限定されないが、特定遺伝子(複数可)(又は重亜硫酸処理DNA配列若しくはCpGアイランド)に関するメチル化特異的PCRプライマー及び非メチル化特異的PCRプライマー、最適化したPCRバッファー及びデオキシヌクレオチド、並びに特異的プローブが含まれ得る。]
[0074] TSP法。 この方法を、欧州特許出願公開第08159227.1号明細書(実施例の項の29頁〜28頁を参照されたい)に記載のように行った。要するに、DNA制限酵素Tsp509Iをブロッカーオリゴヌクレオチドの代わりに使用する。この酵素は、重亜硫酸処理後の増幅中に非メチル化DNAを特異的に切断する。結果として、非メチル化DNAは増幅することができない。]
[0075] MethyLight(商標)。 MethyLight(商標)アッセイは、PCR工程後にさらに操作を必要としない蛍光ベースのリアルタイムPCR(TaqMan(商標))法を利用するハイスループット定量的メチル化アッセイである(Eadset al., Cancer Res. 59:2302-2306, 1999)。要するに、MethyLight(商標)プロセスはゲノムDNAの混合試料から始め、これは、標準的な手法に従って、重亜硫酸ナトリウム反応中にメチル化依存的な配列差異がある混合プールに変換される(重亜硫酸プロセスによって、非メチル化シトシン残基がウラシルに変換される)。それから、蛍光ベースのPCRを「偏向(biased:バイアス)」(既知のCpGジヌクレオチドと重複するPCRプライマーによる)反応中に行う。配列識別(discrimination)は、増幅プロセスのレベルと蛍光検出プロセスのレベルとの両方で行うことができる。]
[0076] MethyLight(商標)アッセイは、ゲノムDNA試料におけるメチル化パターンに関する定量的検査として使用してもよく、配列識別はプローブハイブリダイゼーションのレベルで起こる。この定量的なバージョンでは、PCR反応によって、特定の推定メチル化部位と重複する蛍光プローブの存在下でメチル化特異的な増幅が与えられる。プライマーもプローブも全くCpGジヌクレオチドに重ならない反応によって、DNAの導入量に対する不偏制御が与えられる。代替的に、既知のメチル化部位を「カバー」しない対照オリゴヌクレオチド(HeavyMethyl(商標)法及びMSP法の蛍光ベースのバージョン)、又は潜在的なメチル化部位をカバーするオリゴヌクレオチドのいずれかで偏向PCRプールをプローブ化することによって、ゲノムメチル化に関する定性的検査を行う。]
[0077] 例えば「TaqMan(登録商標)」、Lightcycler(登録商標)、Scorpion(商標)等の任意の好適なプローブを使用することによって、MethyLight(商標)プロセスを行うことができる。例えば、二本鎖ゲノムDNAを重亜硫酸ナトリウムで処理し、TaqMan(登録商標)プローブを使用して、例えばMSPプライマー及び/又はHeavyMethylブロッカーオリゴヌクレオチド及びTaqMan(登録商標)プローブで、2組のPCR反応の1つを行う。TaqMan(登録商標)プローブは、蛍光「レポータ」及び「クエンサー(quencher:消光)」分子で二重標識し、このプローブは、フォワードプライマー又はリバースプライマーよりも約10℃高い温度でPCRサイクル中に溶融するように、比較的GC含量が高い領域に特異的になるように設計する。これによって、TaqMan(登録商標)プローブをPCRアニーリング/伸長工程中、十分なハイブリダイズ状態に維持することが可能になる。Taqポリメラーゼが、PCR中に新規の鎖を酵素的に合成するので、最終的には、アニーリングしたTaqMan(登録商標)プローブに達する。それから、Taqポリメラーゼ5'→3'エンドヌクレアーゼ活性によって、リアルタイム蛍光検出システムを使用して、現時点で消光していないシグナルを定量的に検出するために、蛍光レポータ分子を放出するように消化することによって、TaqMan(登録商標)プローブが置き換わる。]
[0078] MethyLight(商標)解析に典型的な試薬(例えば典型的なMethyLight(商標)ベースキットで見出され得るような)には、これらに限定されないが、特定遺伝子(又は重亜硫酸処理DNA配列若しくはCpGアイランド)に関するPCRプライマー、TaqMan(登録商標)又はLightcycler(登録商標)プローブ、最適化したPCRバッファー及びデオキシヌクレオチド、並びにTaqポリメラーゼが含まれ得る。]
[0079] QM(商標)(定量的メチル化)アッセイは、ゲノムDNA試料におけるメチル化パターンに関する代替的な定量的検査であり、配列識別はプローブハイブリダイゼーションのレベルで起こる。この定量的なバージョンでは、PCR反応によって、特定の推定メチル化部位と重複する蛍光プローブの存在下で不偏増幅が与えられる。プライマーもプローブも全くCpGジヌクレオチドに重ならない反応によって、DNAの導入量に対する不偏制御が与えられる。代替的に、既知のメチル化部位を「カバー」しない対照オリゴヌクレオチド(HeavyMethyl(商標)法及びMSP法の蛍光ベースのバージョン)、又は潜在的なメチル化部位をカバーするオリゴヌクレオチドのいずれかで偏向PCRプールをプローブ化することによって、ゲノムメチル化に関する定性的検査を行う。]
[0080] 増幅プロセスにおいて例えば「TaqMan(登録商標)」、Lightcycler(登録商標)、Scorpion(商標)等の任意の好適なプローブを使用することによって、QM(商標)プロセスを行うことができる。例えば、二本鎖ゲノムDNAを重亜硫酸ナトリウムで処理し、不偏プライマー及びTaqMan(登録商標)プローブに曝す。TaqMan(登録商標)プローブは、蛍光「レポータ」及び「クエンサー」分子で二重標識し、このプローブは、フォワードプライマー又はリバースプライマーよりも約10℃高い温度でPCRサイクル中に溶融するように、比較的GC含量が高い領域に特異的になるように設計する。これによって、TaqMan(登録商標)プローブをPCRアニーリング/伸長工程中、十分なハイブリダイズ状態に維持することが可能になる。Taqポリメラーゼが、PCR中に新規の鎖を酵素的に合成するので、最終的には、アニーリングしたTaqMan(登録商標)プローブに達する。それから、Taqポリメラーゼ5'→3'エンドヌクレアーゼ活性によって、リアルタイム蛍光検出システムを使用して、現時点で消光していないシグナルを定量的に検出するために、蛍光レポータ分子を放出するように消化することによって、TaqMan(登録商標)プローブが置き換わる。]
[0081] QM(商標)解析に典型的な試薬(例えば典型的なQM(商標)ベースキットで見出され得るような)には、これらに限定されないが、特定遺伝子(又は重亜硫酸処理DNA配列若しくはCpGアイランド)に関するPCRプライマー、TaqMan(登録商標)又はLightcycler(登録商標)プローブ、最適化したPCRバッファー及びデオキシヌクレオチド、並びにTaqポリメラーゼが含まれ得る。]
[0082] Ms−SNuPE。 Ms−SNuPE(商標)法は、DNAの重亜硫酸処理に基づき、特定のCpG部位でのメチル化差異を評価した後に、単一ヌクレオチドプライマー伸長を行う、定量的方法である(Gonzalgo & Jones, Nucleic AcidsRes. 25:2529-2531, 1997)。要するに、ゲノムDNAを重亜硫酸ナトリウムと反応させ、非メチル化シトシンをウラシルに変換させるが、5−メチルシトシンは変わらない。それから、重亜硫酸変換したDNAに特異的なPCRプライマーを使用して、所望の標的配列の増幅を行い、得られた産物を、対象となるCpG部位(複数可)のメチル化解析のための鋳型として単離及び使用する。少量のDNA(例えば顕微解剖した病理切片)を解析することができ、CpG部位のメチル化状況を決定するのに、制限酵素の利用を回避する。]
[0083] Ms−SNuPE(商標)解析に典型的な試薬(例えば典型的なMs−SNuPE(商標)ベースキットで見出され得るような)には、これらに限定されないが、特定遺伝子(又は重亜硫酸処理DNA配列若しくはCpGアイランド)に関するPCRプライマー、最適化したPCRバッファー及びデオキシヌクレオチド、ゲル抽出キット、陽性対照プライマー、特定遺伝子に対するMs−SNuPE(商標)プライマー、(Ms−SNuPE反応のための)反応バッファー並びに標識ヌクレオチドが含まれ得る。さらに、重亜硫酸変換試薬には、DNA変性バッファー、スルホン化バッファー、DNA回収試薬又はキット(例えば析出カラム、限外濾過カラム、アフィニティカラム)、脱スルホン化バッファー、及びDNA回収成分が含まれ得る。]
[0084] 配列番号1〜配列番号7に記載のゲノム配列(複数可)及び配列番号8〜配列番号35に記載のその非天然処理変異型には、細胞増殖性障害、好ましくは表2に記載の障害(最も好ましくは肺癌)の検出に新規の有用性があることを求めた。この有用性は、本明細書内、特に実施例で記載の特定のアッセイで例示されている。]
[0085] Scorpion(登録商標)法(概して欧州特許出願公開9812768.1号明細書に記載される)を、欧州特許公開第1654388号明細書内で詳細に記載されるように、CpGメチル化解析に適合させた。]
[0086] 一実施形態において、本発明の方法は、i)ONECUT1、FOXL−2及びTFAP2Eから成る群から選択される少なくとも1つの遺伝子又はゲノム配列の発現を決定する工程と、ii)被験者が細胞増殖性障害を患う危険性若しくは危険性の増大の有無を決定する工程、又は細胞増殖性障害、好ましくは表2に記載の障害(最も好ましくは肺癌)を検出する工程とを含む。肺腺癌、大細胞肺癌、肺扁平上皮癌及び小細胞肺癌から成る群から選択される肺癌の検出が好ましい。]
[0087] 本発明の方法は、それから転写したRNA又は上記RNAから翻訳したポリペプチド若しくはタンパク質の発現解析のいずれか、好ましくはmRNA発現解析又はポリペプチド発現解析によって可能になり得る。しかしながら、本発明の最も好ましい実施形態では、細胞増殖性障害、好ましくは表2に記載の障害(最も好ましくは肺癌)の検出は、FOXL−2、ONECUT1、TFAP2E(プロモータ又はその調節因子を含む)、及びEN2−2、EN2−3、SHOX2−2及びBARHL2から成る群から選択される少なくとも1つの遺伝子又はゲノム配列のメチル化状況又はメチル化レベルの解析によって可能になる。]
[0088] したがって、本発明は、被験者においてONECUT1、FOXL−2及びTFAP2Eから成る群から選択される少なくとも1つの遺伝子又はゲノム配列の発現の検出、及び該検出から被験者が細胞増殖性障害を患う危険性若しくは危険性の増大の有無を決定すること、又は上記被験者における細胞増殖性障害、好ましくは表2に記載の障害(最も好ましくは肺癌)の検出に関する定量的且つ定性的な診断アッセイ及び方法も提供する。細胞増殖性障害が肺癌であるのが特に好ましく、肺腺癌、大細胞肺癌、肺扁平上皮癌及び小細胞肺癌から成る群から選択されるのが特に好ましい。]
[0089] ONECUT1、FOXL−2及びTFAP2Eから成る群から選択される少なくとも1つの遺伝子又はゲノム配列から転写したmRNAの異常な発現は、被験者において細胞増殖性障害、好ましくは表2に記載の障害(最も好ましくは肺癌)の存在に関連する。細胞増殖性障害が肺癌、好ましくは肺腺癌、大細胞肺癌、肺扁平上皮癌及び小細胞肺癌から成る群から選択される肺癌であるのが特に好ましい。]
[0090] 本発明によれば、高メチル化及び/又は低発現は、細胞増殖性障害、特に表2に記載の障害(最も好ましくは肺癌)の存在に関連する。]
[0091] 遺伝子又はゲノム配列をコードするmRNAの存在を検出するために、患者から試料を得る。試料は、腫瘍の細胞性物質を含む任意の好適な試料であり得る。好適な試料型としては、細胞若しくは細胞株、組織断片、生検、パラフィン包埋組織、体液、射精液、尿、血漿、血清、全血、単離血球、唾液及び気管支鏡検査(気管支洗浄、気管支肺胞洗浄、気管支擦過、気管支掻爬を含むが、これらに限定されない)で得られる生体物質並びにこれらの全ての可能な組合せが挙げられる。より好ましくは、試料型は、血漿、唾液及び気管支鏡検査(気管支洗浄、気管支肺胞洗浄、気管支擦過及び気管支掻爬を含むが、これらに限定されない)で得られる生体物質並びにこれらの全ての可能な組合せから成る群から選択される。]
[0092] 試料を処理して、そこに含有されるRNAを抽出することができる。それから、試料から得られる核酸を解析する。遺伝子発現の絶対レベル及び相対レベルを決定する多くの技法が最先端技術で知られており、本発明に使用するのに適した一般的に使用される技法としては、in situハイブリダイゼーション(例えばFISH)、ノーザン解析、RNase保護アッセイ(RPA)、マイクロアレイ及びPCRベースの技法(定量的PCR及び示差表示PCR又は任意の他の核酸検出法等)が挙げられる。]
[0093] 逆転写/ポリメラーゼ連鎖反応法(RT−PCR)の使用が特に好ましい。RT−PCRの方法は当該技術分野で既知である(例えば、Watson and Fleming(上記)を参照されたい)。]
[0094] RT−PCR法は、以下のように行うことができる。例えば標準的なイソチオシアネートグアニジウム法によって総細胞RNAを単離し、総RNAを逆転写する。逆転写法は、逆転写酵素及び3'末端オリゴヌクレオチドdTプライマー及び/又はランダム六量体プライマーを使用したRNA鋳型上でのDNA合成を伴う。それから、このようにして産生したcDNAをPCRによって増幅する(Belyavsky et al, Nucl Acid Res 17:2919-2932, 1989、Krug and Berger, Methodsin Enzymology, Academic Press, N.Y., Vol.152, pp. 316-325, 1987、参照により援用される)。PCR産物をハイブリダイゼーションプローブ(例えばTaqMan、Lightcycler、Molecular Beacons及びScorpion)又はSYBRグリーンで検出する、RT−PCRの「リアルタイム」変法がさらに好ましい。それから、検量線を参照するか、又はCt値と較正基準の値とを比較することによって、プローブ又はSYBRグリーンから検出されるシグナルを定量化する。結果を正規化するのには、ハウスキーピング遺伝子解析が使用されることが多い。]
[0095] ノーザンブロット解析において、総mRNA又はポリ(A)+mRNAを変性アガロースゲル上に泳動し、乾燥ゲル自体における又は膜上の標識プローブに対するハイブリダイゼーションによって検出する。得られたシグナルは、RNA集団において標的RNAの量に比例する。]
[0096] 2つ以上の細胞集団又は組織からのシグナルを比較することによって、遺伝子発現レベルの相対的差異が明らかになる。シグナルと、標的RNAに対応する既知の量のin vitro転写産物を使用して作成した検量線とを比較することによって、絶対的定量化を行うことができる。発現レベルが条件に関係なく相対的に一定のままであると予測される遺伝子である、ハウスキーピング遺伝子の解析は、結果を正規化し、RNAの膜への不均衡な移動、又はゲル上のRNAの不均衡な充填によって引き起こされるいかなる見掛けの差異も取り除くのに使用されることが多い。]
[0097] ノーザン解析の第1工程は、対象となる細胞又は組織から純粋で無傷のRNAを単離することである。ノーザンブロットは、サイズによってRNAを識別するので、試料の完全性は、シグナルが単一バンドに局在化する程度に影響を与える。部分的に分解したRNA試料によって、シグナルが塗抹されるか、又は幾つかのバンドにわたって分散され、全体的に感度が失われ、データが誤って解釈される可能性がある。ノーザンブロット解析では、DNA、RNA及びオリゴヌクレオチドプローブを使用することができ、これらのプローブは標識するのが好ましい(例えば放射線標識、質量標識又は蛍光標識)。プローブではない標的RNAのサイズによって、検出バンドのサイズが決定されるため、可変長のプローブを作製するランダムプライム化標識のような方法がプローブ合成に好適である。プローブの比活性によって、感度レベルが決定されるため、比活性が高いプローブを使用するのが好ましい。]
[0098] RNase保護アッセイにおいて、RNA標的及び規定長のRNAプローブを溶液中でハイブリダイズする。ハイブリダイゼーション後、一本鎖核酸に特異的なRNaseでRNAを消化し、任意のハイブリダイズしていない一本鎖の標的RNA及びプローブを除去する。RNaseを不活性化し、例えば、変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動によって、RNAを分離する。無傷のRNAプローブの量は、RNA集団における標的RNAの量に比例する。RPAは、遺伝子発現の相対的及び絶対的定量化、並びにまたRNA構造(イントロン/エキソン境界及び転写開始部位等)のマッピングに使用することができる。RNase保護アッセイは、一般的に検出限界がより低いのでノーザンブロット解析よりも好ましい。]
[0099] RPAに使用するアンチセンスRNAプローブは、規定の終点を有するDNA鋳型のin vitro転写によって作製し、典型的に50ヌクレオチド〜600ヌクレオチドの範囲内である。標的RNAと相同ではない付加的配列を含むRNAプローブの使用によって、保護断片を完全長プローブと識別することが可能になる。一本鎖RNAプローブを作製するのが容易であり、且つRNaseによるRNA:RNA二本鎖消化に再現性及び信頼性があるので(Ausubel et al. 2003)、典型的にDNAプローブの代わりにRNAプローブを使用し、比活性が高いプローブが特に好ましい。]
[0100] マイクロアレイの使用が特に好ましい。マイクロアレイ解析プロセスは、2つの主要部に分けることができる。初めに、スライドガラス(又は他の固体支持体)上に既知の遺伝子配列を固定した後、スライドガラス(又は他の固相)上に固定した既知の遺伝子に対して、蛍光標識したcDNA(検索する配列を含む)をハイブリダイゼーションする。ハイブリダイゼーション後、蛍光マイクロアレイスキャナを使用して、アレイを精査する。異なる遺伝子の相対的蛍光強度を解析することは、遺伝子発現の差異の評価基準を与える。]
[0101] 調製スライドガラス又は他の固体表面上に前合成したオリゴヌクレオチドを固定化することによって、DNAアレイを作製することができる。この場合、標準的なオリゴヌクレオチド合成法及び精製法を使用して、代表的な遺伝子配列を製造及び調製する。これらの合成遺伝子配列は、ONECUT1、FOXL−2及びTFAP2Eから成る群から選択される少なくとも1つの遺伝子又はゲノム配列のRNA転写産物(複数可)に相補的であり、25ヌクレオチド〜70ヌクレオチドの範囲内でより短い配列である傾向がある。代替的に固定化オリゴは、スライド表面上にin situで化学合成することができる。in situオリゴヌクレオチド合成は、適切なヌクレオチドをマイクロアレイ上のスポットに逐次付加することを伴い、ヌクレオチドを受けていないスポットは、物理的マスク又は仮想マスクを使用して、各プロセス段階中で保護される。好ましくは、上記合成核酸は、ロックド(locked)核酸である。]
[0102] 発現プロファイリングマイクロアレイの実験において、使用するRNA鋳型は、研究中の細胞又は組織の転写プロファイルの代表的なものである。初めに、比較する細胞集団又は組織からRNAを単離する。それから逆転写反応を介して蛍光標識cDNAを作製するために、各RNA試料を鋳型として使用する。cDNAの蛍光標識は、直接標識法又は間接標識法のいずれかで達成することができる。直接標識中、蛍光修飾ヌクレオチド(例えばCy(登録商標)3−dCTP又はCy(登録商標)5−dCTP)は、逆転写中にcDNAに直接組み込む。代替的に、間接標識は、cDNA合成中、アミノアリル修飾ヌクレオチドを組み込み、それから逆転写反応が完了した後、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステル色素と、アミノアリル修飾cDNAとを結合することによって達成することができる。代替的に、プローブは、標識しなくてもよく、直接又は間接的に標識したリガンドとの特異的結合によって検出することもできる。リガンド(及びプローブ)を標識するのに適した標識及び方法は当該技術分野で既知であり、例えば既知の方法(例えばニックトランスレーション又はキナーゼ処理(kinasing))によって組み込まれ得る放射性標識が含まれる。他の好適な標識としては、ビオチン、蛍光基、化学発光基(例えばジオキセタン、特に誘発ジオキセタン)、酵素、抗体等が挙げられるが、これらに限定されない。]
[0103] 様々な遺伝子の発現解析を行うために、様々なRNA試料から作製したcDNAをCy(登録商標)3で標識する。得られた標識cDNAを精製し、組み込まれなかったヌクレオチド、遊離色素及び残留RNAを除去する。精製後、標識cDNA試料をマイクロアレイとハイブリダイズする。ハイブリダイゼーション中、及び洗浄手順中、多くの因子(温度、イオン強度、時間の長さ、ホルムアミド濃度を含む)によって、ハイブリダイゼーションの緊縮性を決定する。これらの因子は、例えばSambrook et al.(Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd ed., 1989)で概説される。ハイブリダイゼーション後、蛍光マイクロアレイスキャナを使用して、マイクロアレイを精査する。各スポットの蛍光強度は解析遺伝子の発現レベルを示し、明るいスポットは強く発現する遺伝子に対応し、暗いスポットは弱い発現を示す。]
[0104] 画像を得たら、生データを解析する必要がある。初めに、各スポットの蛍光からバックグラウンド蛍光を差し引く必要がある。それから、データを制御配列(外から加えられた核酸(好ましくはRNA又はDNA)、又は任意の非特異的ハイブリダイゼーション、アレイセットアップにおけるアレイ不完全性又は変動性、cDNA標識、ハイブリダイゼーション又は洗浄の原因となるハウスキーピング遺伝子パネル等)に正規化する。データの正規化によって、複数のアレイ結果の比較が可能になる。]
[0105] 本発明の別の態様は、本発明の方法に従って、被験者において細胞増殖性障害、好ましくは表2に記載の障害(最も好ましくは肺癌及びさらに好ましくは、肺腺癌、大細胞肺癌、肺扁平上皮癌、小細胞肺癌から成る群から選択される肺癌である)を診断するのに使用するキットであって、ONECUT1、FOXL−2及びTFAP2Eから成る群から選択される少なくとも1つの遺伝子又はゲノム配列の転写レベルを測定する手段を含む、キットに関する。好ましい実施形態では、転写レベルを測定する手段は、ストリンジェントな条件又は適度にストリンジェントな条件下で、FOXL−2、ONECUT1、TFAP2E(プロモータ又はその調節因子を含む)、及びEN2−2、EN2−3、SHOX2−2及びBARHL2から成る群から選択される少なくとも1つの遺伝子又はゲノム配列の転写産物とハイブリダイズすることができるオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドを含む。最も好ましい実施形態では、ノーザンブロット解析、逆転写酵素PCR、リアルタイムPCR、RNase保護、及びマイクロアレイの群から選択される技法によって転写レベルを決定する。本発明の別の実施形態ではキットは、患者の生体試料を得る手段をさらに含む。転写レベルを測定する手段及び患者の生体試料を収容するのに好適であるのが最も好ましいコンテナをさらに含み、最も好ましくはキット結果を利用及び解釈するための取扱説明書をさらに含むキットが好ましい。]
[0106] 好ましい実施形態において、キットは、(a)ストリンジェントな条件又は適度にストリンジェントな条件下で、FOXL−2、ONECUT1、TFAP2E(プロモータ又はその調節因子を含む)、及びEN2−2、EN2−3、SHOX2−2及びBARHL2から成る群から選択される少なくとも1つの遺伝子又はゲノム配列の転写産物とハイブリダイズすることができる複数のオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドと、(b)好ましくは、オリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチド及び転写産物を含む患者の生体試料を収容するのが好適であるコンテナであって、オリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドは、ストリンジェントな条件又は適度にストリンジェントな条件下で転写産物とハイブリダイズすることができる、コンテナと、(c)(b)のハイブリダイゼーションを検出する手段と、任意で(d)キット結果を利用及び解釈するための取扱説明書とを含む。]
[0107] キットは、別々のコンテナに入った状態で、ハイブリダイゼーションバッファー等の他の成分(オリゴヌクレオチドはプローブとして使用する)を含有してもよい。代替的に、標的領域を増幅するのにオリゴヌクレオチドを使用する場合、キットは、ポリメラーゼによって媒介されるプライマー伸長(PCR等)のために最適化したポリメラーゼと反応バッファーとを別々のコンテナに入った状態で含有してもよい。上記ポリメラーゼは逆転写酵素であるのが好ましい。上記キットはRNase試薬を含有するのがさらに好ましい。]
[0108] 本発明は、患者から得られた試料において上記遺伝子配列によってコードされるポリペプチドの存在を検出する方法をさらに提供する。]
[0109] ONECUT1、FOXL−2及びTFAP2Eから成る群から選択される少なくとも1つの遺伝子又はゲノム配列によってコードされるポリペプチドの異常なレベルのポリペプチド発現は、細胞増殖性障害、好ましくは表2に記載の障害(最も好ましくは肺癌)の存在に関連する。肺腺癌、大細胞肺癌、肺扁平上皮癌、小細胞肺癌から成る群から選択される肺癌が特に好ましい。]
[0110] 本発明によれば、上記ポリペプチドの低発現は、細胞増殖性障害、好ましくは表2に記載の障害(最も好ましくは肺癌)の存在に関連する。細胞増殖性障害が肺癌であること、並びに肺腺癌、大細胞肺癌、肺扁平上皮癌、及び小細胞肺癌から成る群から選択されることが特に好ましい。]
[0111] ポリペプチドを検出する当該技術分野で既知の任意の方法を使用することができる。このような方法としては、質量分析法(mass-spectrometry)、免疫拡散法、免疫電気泳動法、免疫化学法、バインダ−リガンドアッセイ、免疫組織化学技法、凝集及び補体アッセイ(例えばBasic and Clinical Immunology, Sites and Terr, eds., Appleton & Lange, Norwalk, Conn. pp 217-262, 1991(参照により援用される)を参照されたい)が挙げられるが、これらに限定されない。抗体をエピトープ(単数又は複数)と反応させること、及び標識ポリペプチド又はその誘導体を競争的に置き換えることを含むバインダ−リガンドイムノアッセイ法が好ましい。]
[0112] 本発明の或る特定の実施形態は、ONECUT1、FOXL−2及びTFAP2Eから成る群から選択される少なくとも1つの遺伝子又はゲノム配列によってコードされるポリペプチド(複数可)に特異的な抗体の使用を含む。]
[0113] このような抗体は、細胞増殖性障害、好ましくは表2に記載の障害に、及び最も好ましくは肺癌の診断に有用である。肺腺癌、大細胞肺癌、肺扁平上皮癌、小細胞肺癌から成る群から選択される肺癌が特に好ましい。或る特定の実施形態では、モノクローナル抗体又はポリクローナル抗体の産生は、抗原としてONECUT1、FOXL−2及びTFAP2Eから成る群から選択される少なくとも1つの遺伝子又はゲノム配列のポリペプチドによってコードされるエピトープの使用によって誘導することができる。そのような抗体はさらに、細胞増殖性障害、好ましくは表2に記載の障害に関するマーカー、及び最も好ましくは肺癌の診断用のマーカーとして発現ポリペプチドを検出するのに使用してもよい。肺腺癌、大細胞肺癌、肺扁平上皮癌、小細胞肺癌から成る群から選択される肺癌が特に好ましい。存在するこのようなポリペプチドレベルは従来方法によって定量化し得る。抗体−ポリペプチド結合は、当該技術分野で既知の様々な手段(蛍光リガンド又は放射性リガンドによる標識等)によって検出及び定量化し得る。本発明は、上述の手順を行うためのキットをさらに含み、このようなキットは、研究するポリペプチドに特異的な抗体を含有する。]
[0114] 多くの競合ポリペプチド結合イムノアッセイ及び非競合ポリペプチド結合イムノアッセイが、当該技術分野で既知である。このようなアッセイで利用する抗体は、例えば凝集検査で使用される場合、標識されず、又は多種多様なアッセイ法を使用する場合は標識され得る。使用することができる標識としては、放射性核種、酵素、蛍光因子(fluorescers)、化学発光因子(chemiluminescers)、酵素基質又は補因子、酵素阻害剤、粒子、色素等が挙げられる。好ましいアッセイとしては、ラジオイムノアッセイ(RIA)、酵素イムノアッセイ、例えば酵素免疫測定法(ELISA)、蛍光イムノアッセイ等が挙げられるが、これらに限定されない。イムノアッセイに使用するために、当該技術分野で既知の多くの方法のいずれかによってポリクローナル抗体若しくはモノクローナル抗体又はそのエピトープを作製することができる。]
[0115] この方法の代替的な実施形態において、タンパク質をウェスタンブロット解析で検出してもよい。上記解析は、当該技術分野で標準的なものであり、簡潔に電気泳動(例えばSDS−PAGE)によってタンパク質を分離する。それから、分離タンパク質を好適な膜(又は紙)、例えばニトロセルロースに移し、電気泳動によって得られる空間的分離を維持する。その後、膜上で粘性の残る場所と結合させるために、膜を遮断剤とインキュベートし、一般的に使用される遮断剤にはジェネリックタンパク質(例えば乳タンパク質)が含まれる。それから、対象となるタンパク質に特異的な抗体を添加し、上記抗体は、例えば色素又は酵素的手段(例えばアルカリホスファターゼ又はホースラディッシュペルオキシダーゼ)によって検出可能に標識する。その後、膜上の抗体位置を検出する。]
[0116] この方法の代替的な実施形態において、タンパク質を免疫組織化学法(試料におけるプローブ特異的な抗原に対する抗体を使用すること)によって検出してもよい。上記解析は、当該技術分野で標準的なものであり、組織における抗原の検出が免疫組織化学法として知られている一方で、培養細胞における検出は一般的に、免疫細胞化学法と呼ばれている。簡潔に一次抗体は、その特異的な抗原と結合することで検出する。それから、抗体−抗原複合体は、酵素結合した二次抗体によって結合する。必要となる基質及び色原体の存在下では、抗体−抗原結合部位での発色沈殿物によって、結合酵素を検出する。様々な試料型、抗原−抗体親和性、抗体型、及び検出増大法が存在する。したがって、免疫組織化学的検出又は免疫細胞化学的検出に最適な条件は、各々の場合で当業者が決定しなければいけない。]
[0117] ポリペプチドに対する抗体を調製するアプローチの1つは、アミノ酸配列を化学的に合成し、それを適切な動物(通常ウサギ又はネズミ)に注射する、ポリペプチドの全て又は一部のアミノ酸配列の選択及び調製である(Milstein and Kohler Nature 256:495-497, 1975、Gulfre and Milstein, Methodsin Enzymology: Immunochemical Techniques 73:1-46, Langone and Banatis eds., Academic Press, 1981、その全体が参照により援用される)。ポリペプチド又はそのエピトープを調製する方法としては、化学合成、組み換えDNA技法、又は生体試料からの単離が挙げられるが、これらに限定されない。]
[0118] この方法の最終工程では、患者の診断を決定し、(mRNA又はポリペプチドの)低発現は、細胞増殖性障害、好ましくは表2に記載の障害(最も好ましくは肺癌)の存在の指標となる。好ましくは肺腺癌、大細胞肺癌、肺扁平上皮癌及び小細胞肺癌から成る群から選択される肺癌が特に好ましい。用語「低発現」は、平均、中央値又は最適化した閾値から成る群から選択され得る所定のカットオフ値よりも低い検出レベルでの発現を意味するものとする。用語「過剰発現」は、平均、中央値又は最適化した閾値から成る群から選択され得る所定のカットオフ値よりも高い検出レベルでの発現を意味するものとする。]
[0119] 本発明の別の態様は、本発明の方法に従って、被験者において細胞増殖性障害、好ましくは表2に記載の障害(最も好ましくは肺癌)を診断するのに使用するキットであって、ONECUT1、FOXL−2及びTFAP2Eから成る群から選択される少なくとも1つの遺伝子又はゲノム配列のポリペプチドを検出する手段を含む、キットを提供する。ポリペプチドを検出する手段は、抗体、抗体誘導体、又は抗体断片を含むのが好ましい。標識抗体を利用するウェスタンブロッティングによって、ポリペプチドを検出するのが最も好ましい。本発明の別の実施形態ではキットは、患者の生体試料を得る手段をさらに含む。患者の生体試料においてポリペプチドを検出する手段を収容するのに適したコンテナをさらに含み、最も好ましくはキット結果を利用及び解釈するための取扱説明書をさらに含むキットが好ましい。好ましい実施形態ではキットは、(a)ONECUT1、FOXL−2及びTFAP2Eから成る群から選択される少なくとも1つの遺伝子又はゲノム配列のポリペプチドを検出する手段と、(b)上記手段及びポリペプチドを含む患者の生体試料を収容するのに適したコンテナであって、この手段は、ポリペプチドと複合体を形成することができる、コンテナと、(c)(b)の複合体を検出する手段と、任意で(d)キット結果を利用及び解釈するための取扱説明書とを含む。]
[0120] キットは、別々のコンテナに入った状態で、遮断、洗浄又はコーティングに適したバッファー又は溶液等の他の成分を含有してもよい。]
[0121] 本発明の特定の実施形態は、細胞増殖性障害、好ましくは表2に記載の障害(最も好ましくは肺癌)を患う危険性の正確な検出、特徴付け、評価を可能にする、FOXL−2、ONECUT1、TFAP2E(プロモータ又はその調節因子を含む)、及びEN2−2、EN2−3、SHOX2−2及びBARHL2から成る群から選択される少なくとも1つの遺伝子又はゲノム配列内のメチル化状況、メチル化のレベル及び/又はパターンの解析の新規の用途を提供する。この肺癌は、肺腺癌、大細胞肺癌、肺扁平上皮癌及び小細胞肺癌から成る群から選択されるのが特に好ましい。細胞増殖性障害、特に肺癌の早期検出は、疾患進行に直接関係し、これによって開示の方法により、医師及び患者がより良好且つ多くの情報を得た上で治療法を決定することが可能となる。したがって、早期の疾患の検出を可能にする本発明の方法をスクリーニングツールとして又は最初の診断がはっきりしないときはいつでもさらなる診断検査として行うのが好ましい。]
[0122] 本発明の方法内で使用される好ましい試料型は、唾液又は肺で得られる生体試料、好ましくは気管流体、気管支洗浄液及び気管支肺胞洗浄液である。この試料型は、慣行で現在使用され、また標準的なケアの一部として肺疾患の確立された従来の診断法(例えば組織学的手法及び/又は細胞学的手法)により得ることができる試料であるという利点がある。利用可能な試料を使用することの利点は、同じ試料からさらに情報を得ることができることである。第2の利点は、これらの試料を非侵襲的に得ることができ(例えば唾液)、又は被験者若しくは患者に対する危険性が低いことである。]
[0123] 気管支系から回収される試料を使用することの別の重要な利点は、肺癌の特異的診断又は肺癌のリスク評価に使用することができるマーカーが、癌型に関して余り特異的ではない可能性があるということである。同じマーカーで他の癌型を検出しても(他の試料型、例えば血液で検査しても)問題はない。]
[0124] この方法の最も好ましい実施形態において、被験者が細胞増殖性障害を患う危険性若しくは危険性の増大の有無、又は細胞増殖性障害、好ましくは表2に記載の障害(最も好ましくは肺癌、特に肺腺癌、大細胞肺癌、肺扁平上皮癌及び小細胞肺癌から成る群から選択される肺癌)の検出を、FOXL−2、ONECUT1、TFAP2E(プロモータ又はその調節因子を含む)、及びEN2−2、EN2−3、SHOX2−2及びBARHL2から成る群から選択される少なくとも1つの遺伝子又はゲノム配列の1つ又は複数のCpGジヌクレオチドのメチル化状況又はレベルの解析によって決定する。]
[0125] 一実施形態において、上記本発明の方法は、i)被験者から得られた(好ましくは体液から単離した)ゲノムDNAを、FOXL−2、ONECUT1、TFAP2E(プロモータ又はその調節因子を含む)、及びEN2−2、EN2−3、SHOX2−2及びBARHL2から成る群から選択される少なくとも1つの遺伝子又はゲノム配列内でメチル化CpGジヌクレオチドと非メチル化CpGジヌクレオチドとを識別する、少なくとも1つの試薬又は試薬群に接触させる工程と、ii)細胞増殖性障害、好ましくは表2に記載の障害(最も好ましくは肺癌)を検出する工程とを含む。肺腺癌、大細胞肺癌、肺扁平上皮癌及び小細胞肺癌から成る群から選択される肺癌が特に好ましい。]
[0126] FOXL−2、ONECUT1、TFAP2E(プロモータ又はその調節因子を含む)、及びEN2−2、EN2−3、SHOX2−2及びBARHL2から成る群から選択される少なくとも1つの遺伝子又はゲノム配列の上記1つ又は複数のCpGジヌクレオチドが、配列番号1〜配列番号7に規定されるその各ゲノム標的配列及びそれらの相補体内に含まれることが好ましい。本発明は、シトシンのメチル化を解析することによって、被験者内でFOXL−2、ONECUT1、TFAP2E(プロモータ又はその調節因子を含む)、及びEN2−2、EN2−3、SHOX2−2及びBARHL2から成る群から選択される少なくとも1つの遺伝子又はゲノム配列、及び/又は配列番号1〜配列番号7に記載のゲノム配列の遺伝的パラメータ及び/又はエピジェネティックパラメータを確かめる方法をさらに提供する。上記方法は、上記被験者から得られた生体試料において配列番号1〜配列番号7を含む核酸を、標的核酸内でメチル化CpGジヌクレオチドと非メチル化CpGジヌクレオチドとを識別する、少なくとも1つの試薬又は試薬群に接触させることを含む。]
[0127] 好ましい実施形態において、上記方法は以下の工程を含む:第1の工程では、解析する組織試料を得る。供給源は、細胞若しくは細胞株、組織断片、生検、パラフィン包埋組織、体液、射精液、尿、血漿、血清、全血、単離血球、唾液、肺で得られる生体物質、好ましくは気管支鏡検査(気管支洗浄、気管支肺胞洗浄、気管支擦過、気管支掻爬を含むが、これらに限定されない)で得られる生体物質及びこれらのすべての可能な組合せ等の任意の好適な供給源であり得る。より好ましくは、試料型は、血漿、唾液、肺で得られる生体物質、好ましくは気管支鏡検査(気管支洗浄、気管支肺胞洗浄、気管支擦過及び気管支掻爬を含むが、これらに限定されない)で得られる生体物質並びにこれらの全ての可能な組合せから成る群から選択される。試料型が唾液及び(これまでに記載されるような)肺で得られる生体試料から成る群から選択され、最も好ましくはこの生体物質が、気管支鏡検査(気管支洗浄、気管支肺胞洗浄、気管支擦過及び気管支掻爬を含むが、これらに限定されない)で得られることが本発明の方法の好ましい実施形態である。]
[0128] その後、試料からゲノムDNAを単離する。ゲノムDNAは、市販のキットの使用を含む、当該技術分野で標準的な任意の手段によって単離してもよい。要するに、対象となるDNAが、細胞膜によってその中に封入され、生体試料は、酵素的手段、化学的手段又は機械的手段によって破壊及び溶解する必要がある。それから、例えばプロテイナーゼKによる消化で、DNA溶液からタンパク質及び他の汚染物質を除去してもよい。その後、溶液からゲノムDNAを回収する。塩析、有機抽出、又はDNAと固相支持体との結合を含む様々な方法によって、これを行ってもよい。方法の選択は、時間、費用及び要求されるDNA量を含む幾つかの因子の影響を受ける。]
[0129] 試料DNAは膜中に封入されず(例えば血液試料由来の循環DNA)、DNAの単離及び/又は精製のために当該技術分野で標準的な方法を利用してもよい。このような方法としては、タンパク質変性剤(例えばカオトロピック塩、例えば塩酸グアニジン又は尿素)、又は界面活性剤(例えばドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、臭化シアン)の使用が挙げられる。代替的な方法としては、エタノール析出又はプロパノール析出、特に遠心分離による減圧濃縮が挙げられるが、これらに限定されない。当業者は、濾過装置(例えば限外濾過、シリカ表面又はシリカ膜、磁性粒子、ポリスチロール粒子、ポリスチロール表面、正に荷電した表面、及び正に荷電した膜、荷電膜、荷電表面、荷電スイッチ膜(charged switch membranes)、荷電切り替え表面(charged switched surfaces))等の装置を使用してもよい。]
[0130] 核酸を抽出したら、ゲノム二本鎖DNAを解析に使用する。]
[0131] この方法の第2の工程において、5'位で非メチル化したシトシン塩基を、ウラシル、チミン、又はハイブリダイゼーション挙動に関してシトシンと異なる別の塩基に変換するように、ゲノムDNA試料を処理する。これは、本明細書中では「前処理」又は「処理」と理解される。]
[0132] この工程の明確な順番は、重亜硫酸処理の前のDNA単離工程を省略することが可能であり、場合によっては有益でもあるため、本発明の方法の唯一の実施形態である。この場合、例えば試料DNAが膜中に封入されない場合、DNAを単離及び/又は精製する前に重亜硫酸処理(以下の詳細を参照されたい)を行う。そのため重亜硫酸処理は、粗試料、即ち生体物質自体で行い得る。場合によっては、界面活性剤、例えばSDSの存在が必要となり得る。]
[0133] 重亜硫酸試薬による処理によってこれを達成するのが好ましい。用語「重亜硫酸試薬」は、本明細書に開示されるようにメチル化CpGジヌクレオチド配列と非メチル化CpGジヌクレオチド配列とを識別するのに有用である、重亜硫酸塩、二亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、又はこれらの組合せを含む試薬を表す。上記治療方法は、当該技術分野で既知である(例えば国際出願PCT/EP2004/011715号明細書、その全体が参照により援用される)。これらに限定されないが、n−アルキレングリコール、特にジエチレングリコールジメチルエーテル(DME)等の変性溶媒の存在下、又はジオキサン若しくはジオキサン誘導体の存在下で重亜硫酸処理を行うのが好ましい。好ましい実施形態では、変性溶媒は、1%〜35%(v/v)の濃度で使用する。これらに限定されないが、クロマン誘導体(例えば、6−ヒドロキシ−2,5,7,8,−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸、又はトリヒドロキシ安息香酸(trihydroxybenzoe acid)及びその誘導体(例えば没食子酸)等のスカベンジャの存在下で重亜硫酸反応を行うのも好ましい(国際出願PCT/EP2004/011715号明細書(その全体が参照により援用される)を参照されたい)。重亜硫酸変換は、30℃〜70℃の反応温度で行うのが好ましく、反応中、短時間で85℃を超えるまで温度が増大する(国際出願PCT/EP2004/011715号明細書(その全体が参照により援用される)を参照されたい)。定量化の前に重亜硫酸処理DNAを精製するのが好ましい。これに限定されないが、限外濾過等、当該技術分野で既知の任意の手段によって、これを行ってもよく、Microcon(商標)カラム(Millipore(商標)製)によって行うのが好ましい。改良した製造業者のプロトコルに従って精製を行う(国際出願PCT/EP2004/011715号明細書(その全体が参照により援用される)を参照されたい)。]
[0134] この方法の第3の工程において、本発明によるプライマーオリゴヌクレオチド組と、増幅酵素とを使用して、処理DNA断片を増幅する。1つの同じ反応容器で、幾つかのDNAセグメントの増幅を同時に行うことができる。典型的に、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用して、増幅を行う。好ましくは、上記増幅産物は、100塩基対長〜2000塩基対長である。プライマーオリゴヌクレオチド組は、それぞれの配列が、配列番号8〜配列番号35の内の1つの塩基配列及びこれに相補的な配列の少なくとも16塩基対長のセグメントと逆相補的、同一又はストリンジェントな条件又は高ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする少なくとも2つのオリゴヌクレオチドを含む。]
[0135] この方法の代替的な実施形態において、FOXL−2、ONECUT1、TFAP2E(プロモータ又はその調節因子を含む)、及びEN2−2、EN2−3、SHOX2−2及びBARHL2から成る群から選択される少なくとも1つの遺伝子又はゲノム配列内、及び好ましくは配列番号1〜配列番号7の核酸配列内の予め選択されたCpG位置のメチル化の状況又はレベルは、メチル化特異的なプライマーオリゴヌクレオチドの使用によって検出し得る。この技法(MSP)は、Hermanへの米国特許第6,265,171号明細書に記載されている。重亜硫酸処理DNAの増幅のためのメチル化状況に特異的なプライマーの使用によって、メチル化核酸と非メチル化核酸との識別が可能になる。MSPプライマー対は、重亜硫酸処理CpGジヌクレオチドとハイブリダイズする少なくとも1つのプライマーを含有する。したがって、上記プライマー配列は、CpGジヌクレオチドを少なくとも1つ含む。非メチル化DNAに特異的なMSPプライマーは、CpGにおけるC位の位置で「T」を含有する。好ましくはしたがって、上記プライマーの塩基配列は、配列番号8〜配列番号35の内の1つによる処理核酸配列及びこれに相補的な配列とハイブリダイズする少なくとも9ヌクレオチド長の配列を含むことが要求され、上記オリゴマーの塩基配列は、CpGジヌクレオチドを少なくとも1つ含む。この方法のさらなる好ましい実施形態は、ブロッカーオリゴヌクレオチド(HeavyMethyl(商標)アッセイ)の使用を含む。このようなブロッカーオリゴヌクレオチドの使用は、Yu et al., BioTechniques 23:714-720, 1997に記載されている。遮断プローブオリゴヌクレオチドは、PCRプライマーと同時に重亜硫酸処理核酸とハイブリダイズする。遮断プローブに相補的な配列が存在する場合に核酸の増幅が抑制されるように、核酸のPCR増幅は遮断プローブの5'位で終結する。プローブは、メチル化状況に特異的に重亜硫酸処理核酸とハイブリダイズするように設計し得る。例えば非メチル化核酸集団内のメチル化核酸の検出のために、メチル化核酸の増幅抑制が望まれる場合、「CpG」に対して対象となる位置で「CpA」又は「TpA」を含む遮断プローブを使用することによって、対象となる位置で非メチル化する核酸の増幅抑制を起こす。]
[0136] ブロッカーオリゴヌクレオチドを使用したPCR法のために、ポリメラーゼ媒介性増幅の効果的な破壊には、ブロッカーオリゴヌクレオチドがポリメラーゼでは伸長しないことが要求される。好ましくは、3'−デオキシオリゴヌクレオチド、又は「遊離」ヒドロキシル基以外で3'位で誘導体化したオリゴヌクレオチドであるブロッカーを使用することによって、これを達成する。例えば、3'−O−アセチルオリゴヌクレオチドは、好ましいブロッカー分子群の代表的なものである。]
[0137] さらに、ブロッカーオリゴヌクレオチドのポリメラーゼ媒介性分解を防ぐ必要がある。好ましくは、このような防止には、5'−3'エキソヌクレアーゼ活性を失ったポリメラーゼの使用、又は例えばブロッカー分子をヌクレアーゼ耐性にする、その5'末端(terminii)にチオエート架橋を有する修飾ブロッカーオリゴヌクレオチドの使用のいずれかが含まれる。特定の適用には、このようなブロッカーの5'修飾は要求され得ない。例えば、ブロッカー結合部位及びプライマー結合部位が重複し、それによりプライマーが(例えば過剰なブロッカーと)結合するのを防ぐ場合、ブロッカーオリゴヌクレオチドの分解が実質的に防がれる。これは、ポリメラーゼがプライマーをブロッカーに向かって(5'−3'方向に)伸長させないため、通常ハイブリダイズするブロッカーオリゴヌクレオチドの分解をもたらすプロセスである。]
[0138] 本発明のために、及び本明細書中で行われるように、特に好ましいブロッカー/PCRの実施形態には、ブロッカーオリゴヌクレオチドとしてのペプチド核酸(PNA)オリゴマーの使用が含まれる。このようなPNAブロッカーオリゴマーは、ポリメラーゼでは分解も伸長もしないので理想的に適している。]
[0139] 好ましくはしたがって、上記ブロッカーオリゴヌクレオチドの塩基配列には、配列番号8〜配列番号35の内の1つの処理核酸配列及びこれに相補的な配列とハイブリダイズする少なくとも9ヌクレオチド長の配列を含むことが要求され、上記オリゴヌクレオチドの塩基配列が、少なくとも1つのCpGジヌクレオチド、TpGジヌクレオチド又はCpAジヌクレオチドを含む。]
[0140] 増幅によって得られる断片は、直接又は間接的に検出可能な標識を保有し得る。蛍光標識、放射性核種、又は質量分析計で検出することができる典型的な質量を有する分離型分子断片の形態での標識が好ましい。上記標識が質量標識である場合、標識された増幅産物が、質量分析計でのより良好なディレクタビリディ(delectability:検出能)を可能にする、単一の正の正味電荷又は負の正味電荷を有することが好ましい。例えばマトリックス支援レーザー脱離/イオン化質量分析(MALDI)によって、又は電子噴霧(electron spray)質量分析(ESI)を使用して、検出を行い可視化し得る。]
[0141] マトリックス支援レーザー脱離/イオン化質量分析(MALDI−TOF)は、生体分子の解析に非常に効果的な進歩である(Karas & Hillenkamp, Anal Chem., 60:2299-301, 1988)。検体は吸光マトリクスに包埋される。マトリクスは、短レーザーパルスで蒸発し、これにより検体分子を非断片化して気相に移す。マトリクス分子による衝突によって、検体をイオン化する。印加電圧が、フィールドフリー飛行管へとイオンを加速させる。これらの異なる質量により、イオンが異なる速度で加速する。小さいイオンは、大きいイオンよりも早く検出器に到達する。MALDI−TOF質量分析計は、ペプチド及びタンパク質の解析に十分適している。核酸の解析は幾らか難しくなる(Gut & Beck, Current Innovations and Future Trends, 1:147-57, 1995)。核酸解析に対する感度は、ペプチドに対する感度のおよそ100分の1であり、断片の大きさが増大するにつれ不均衡に減少する。さらに、複合的に負に荷電した骨格を有する核酸に対しては、マトリクスを介したイオン化プロセスはほとんど有効ではない。MALDI−TOF質量分析では、マトリクスの選択は、極めて重要な役割を果たす。ペプチドの脱離に対して、非常に精細な結晶体を作製する非常に効果的なマトリクスが幾つか見出されている。現在、DNAに対して幾つかの反応性マトリクスが存在するが、ペプチドと核酸との感度の差異は低減されていない。しかし、ペプチドと類似になるようにDNAを化学修飾することによって、この感度の差異を低減することができる。例えば、骨格の通常のリン酸塩をチオリン酸塩に置換したホスホロチオエート核酸は、単純なアルキル化化学反応を用いて電荷が中性のDNAに変換させることができる(Gut & Beck, Nucleic Acids Res. 23: 1367-73, 1995)。荷電タグとこの修飾DNAとのカップリングによって、ペプチドで見出されるのと同じレベルまでMALDI−TOF感度が増大する。荷電タグ化のさらなる利点は、非修飾基質の検出を非常に困難なものにする不純物に対する解析の安定性の増大である。]
[0142] この方法の第4の工程において、処理前にCpGジヌクレオチドのメチル化状況を確かめるために、この方法の第3の工程中に得られた増幅産物を解析する。]
[0143] MSP増幅によって増幅産物が得られた実施形態において、増幅産物の有無自体が、上記プライマーの塩基配列に従って、プライマーがカバーするCpG位置のメチル化状態の指標となる。]
[0144] 標準的なPCR及びメチル化特異的PCRの両方によって得られた増幅産物は、これらに限定されないが、アレイ技法及びプローブベースの技法等の客観的(based-based)方法によって、並びにシークエンシング及び鋳型指向性伸長等の技法によってさらに解析してもよい。]
[0145] この方法の一実施形態において、工程3で合成された増幅産物を次に、アレイ又はオリゴヌクレオチド組、及び/又はPNAプローブ組とハイブリダイズする。これに関して、ハイブリダイゼーションは以下のように行う:ハイブリダイゼーション中に使用されるプローブ組は、少なくとも2つのオリゴヌクレオチド又はPNA−オリゴマーから構成されるのが好ましく;プロセス中、増幅産物は、予め固相と結合したオリゴヌクレオチドとハイブリダイズするプローブとして有用であり;続いて、ハイブリダイズしなかった断片を除去し;上記オリゴヌクレオチドは、本発明の配列表で指定される塩基配列のセグメントと逆相補的又は同一である少なくとも9ヌクレオチド長の少なくとも1つの塩基配列を含有し;このセグメントは、少なくとも1つのCpGジヌクレオチド、TpGジヌクレオチド又はCpAジヌクレオチドを含む。ハイブリダイズする核酸のハイブリダイズ部分は典型的に、少なくとも9ヌクレオチド長、15ヌクレオチド長、20ヌクレオチド長、25ヌクレオチド長、30ヌクレオチド長又は35ヌクレオチド長である。しかし、より長い分子が本発明に有用であり、このため本発明の範囲内である。]
[0146] 好ましい実施形態において、上記ジヌクレオチドがオリゴマーの中央部3分の1内にある。例えば、オリゴマーは、1つのCpGジヌクレオチドを含み、上記ジヌクレオチドは、13−merの5'末端から5番目〜9番目のヌクレオチドであるのが好ましい。配列番号1〜配列番号7から成る群から選択される配列、及び配列番号8〜配列番号35内の等価位置内の各CpGジヌクレオチドの解析に対して、1つのオリゴヌクレオチドが存在する。上記オリゴヌクレオチドは、ペプチド核酸形態でも存在し得る。その後、ハイブリダイズしなかった増幅産物を除去する。次いで、ハイブリダイズした増幅産物を検出する。これに関して、増幅産物に付着する標識は、オリゴヌクレオチド配列が位置する各固相位置で同定可能であるのが好ましい。]
[0147] この方法のまたさらなる実施形態において、CpG位置のゲノムメチル化状況は、PCR増幅プライマー(上記プライマーは、メチル化に特異的、又は標準的なものであり得る)と同時に重亜硫酸処理DNAとハイブリダイズする(上記で詳述された)オリゴヌクレオチドプローブで確かめることができる。]
[0148] この方法の特に好ましい実施形態は、二重標識蛍光オリゴヌクレオチドプローブ(ABIPrism 7700配列検出システム(Perkin Elmer Applied Biosystems, FosterCity, California)を使用するTaqMan(商標)PCR)を利用した蛍光ベースのリアルタイム定量PCRの使用である(Heid et al., Genome Res. 6:986-994, 1996、米国特許第6,331,393号明細書も参照されたい)。TaqMan(商標)PCR反応は、好ましい実施形態でフォワード増幅プライマーとリバース増幅プライマーとの間に位置する高CpG配列とハイブリダイズするように設計した、TaqMan(商標)プローブと呼ばれる非伸長性検索オリゴヌクレオチドの使用を利用する。TaqMan(商標)プローブは、TaqMan(商標)オリゴヌクレオチドのヌクレオチドに付着したリンカー部分(例えばホスホルアミダイト(phosphoramidites))と共有結合する蛍光「レポータ部分」と「クエンサー部分」とをさらに含む。重亜硫酸処理後の核酸内のメチル化解析のために、プローブが、MethyLight(商標)アッセイとしても知られる米国特許第6,331,393号明細書(その全体が参照により援用される)で記載されるように、メチル化特異的であることが要求される。また、記載の本発明と共に使用するのに適したTaqMan(商標)検出法の変法には、二重プローブ技法(Lightcycler(商標))又は蛍光増幅プライマー(Sunrise(商標)法)の使用が含まれる。これらの技法の両方は、重亜硫酸処理DNAとの使用、さらにCpGジヌクレオチド内のメチル化解析に好適になるように適合し得る。]
[0149] この方法のさらに好ましい実施形態において、この方法の第4の工程には、鋳型指向性のオリゴヌクレオチド伸長(Gonzalgo & Jones, Nucleic AcidsRes. 25:2529-2531, 1997に記載されるMS−SNuPE等)の使用が含まれる。この方法のまたさらなる実施形態において、この方法の第4の工程には、この方法の第3の工程で生成した増幅産物のシークエンシング及びその後の配列解析が含まれる(Sanger F., et al., Proc Natl Acad Sci USA 74:5463-5467, 1977)。]
[0150] この方法の最も好ましい実施形態において、上記で概説された方法の最初の3つの工程に従ってゲノム核酸を単離及び処理する、即ち:
a)対象となるゲノムDNAを有する生体試料を被験者から得ること、
b)ゲノムDNAを抽出、又はそうでなければ単離すること、
c)b)のゲノムDNA又はその断片を1つ又は複数の試薬で処理することであって、5位の非メチル化シトシン塩基を、ウラシル残基又はハイブリダイゼーション特性に関してシトシンと異なることが検出可能な別の塩基に変換する、処理すること、また
d)c)での処理後に、メチル化特異的に、即ちメチル化特異的プライマー又はメチル化特異的ブロッカーオリゴヌクレオチドを使用することによって増幅を行い、さらに
e)上記のように、リアルタイム検出プローブによって、増幅産物の検出を行う。]
[0151] 好ましくは、上記のように、メチル化特異的プライマーによって、d)のその後の増幅が行われ、上記メチル化特異的プライマーは、配列番号8〜配列番号35の内の1つの処理核酸配列及びこれに相補的な配列とハイブリダイズする少なくとも9ヌクレオチド長の配列を含み、上記オリゴマーの塩基配列は、少なくとも1つ、しかし好ましくは2つ又は3つのCpGジヌクレチドを含む。]
[0152] この方法の工程e)、即ち配列番号1〜配列番号7の1つ又は複数のCpG位置のメチル化状況の指標となる特定の増幅産物の検出は、上記のようなリアルタイム検出法によって行われる。]
[0153] 本発明のさらなる実施形態は、重亜硫酸変換を必要とせずに、FOXL−2、ONECUT1、TFAP2E(プロモータ又はその調節因子を含む)、及びEN2−2、EN2−3、SHOX2−2及びBARHL2(好ましくは配列番号1〜配列番号7、及びその相補体)から成る群から選択される少なくとも1つの遺伝子又はゲノム配列のメチル化状況を解析する方法を提供する。メチル化感受性制限酵素試薬、又は標的領域内でメチル化CpGジヌクレオチドと非メチル化CpGジヌクレオチドとを識別するメチル化感受性制限酵素試薬を含む制限酵素試薬群をメチル化を決定するのに利用する方法、例えばこれに限定されないが、DMH等が当該技術分野で既知である。]
[0154] このようなさらなる実施形態の第1の工程において、組織源又は細胞源からゲノムDNA試料を単離する。ゲノムDNAは、市販のキットの使用を含む、当該技術分野で標準的な任意の手段によって単離してもよい。要するに、対象となるDNAが、細胞膜によってその中に封入され、生体試料は、酵素的手段、化学的手段又は機械的手段によって破壊及び溶解する必要がある。次いで、例えばプロテイナーゼKによる消化で、DNA溶液からタンパク質及び他の汚染物質を除去してもよい。その後、溶液からゲノムDNAを回収する。塩析、有機抽出、又はDNAと固相支持体との結合を含む様々な方法によって、これを行ってもよい。方法の選択は、時間、費用及び要求されるDNA量を含む幾つかの因子の影響を受ける。新生物性物質又は潜在的に新生物性の物質を含む全ての臨床試料型は、本発明の方法に使用するのに適しており、好ましくは、細胞若しくは細胞株、組織断片、生検、パラフィン包埋組織、体液、射精液、尿、血漿、血清、全血、単離血球並びに唾液及び気管支鏡検査(気管支洗浄、気管支肺胞洗浄、気管支擦過、気管支掻爬を含むが、これらに限定されない)で得られる生体物質等の肺で得られる生体試料並びにこれらの組合せである。より好ましくは、試料型は、血漿、唾液及び気管支鏡検査(気管支洗浄、気管支肺胞洗浄、気管支擦過、気管支掻爬を含むが、これらに限定されない)で得られる生体物質並びにこれらの全ての可能な組合せから成る群から選択される。]
[0155] 核酸を抽出したら、ゲノム二本鎖DNAを解析に使用する。]
[0156] 好ましい実施形態において、DNAは、メチル化感受性制限酵素による処理の前に切断し得る。このような方法は、当該技術分野で既知であり、物理的手段及び酵素的手段の両方を含み得る。メチル化感受性ではない1つ又は複数の制限酵素の使用が特に好ましく、その認識部位は高ATであり、CGジヌクレオチドを含まない。このような酵素の使用によって、断片化DNAにおけるCpGアイランド及び高CpG領域の変換が可能になる。非メチル化特異的制限酵素は、MseI、BfaI、Csp6I、Tru1I、Tvu1I、Tru9I、Tvu9I、MaeI及びXspIから成る群から選択されるのが好ましい。2つ又は3つのこのような酵素の使用が特に好ましい。MseI、BfaI及びCsp6Iの組合せの使用が特に好ましい。]
[0157] それから、その後の酵素増幅を容易にするために、断片化DNAをアダプタオリゴヌクレオチドにライゲートしてもよい。平滑末端DNA断片及び付着末端DNA断片へのオリゴヌクレオチドのライゲーションは、当該技術分野で既知であり、(例えば仔ウシ又はエビのアルカリホスファターゼを使用した)末端の脱リン酸化手段、及びその後のdATPの存在下でリガーゼ酵素(例えばT4DNAリガーゼ)を使用したライゲーションによって行われる。アダプタオリゴヌクレオチドは典型的に、少なくとも18塩基対長である。]
[0158] 次いで、第3の工程において、1つ又は複数のメチル化感受性制限酵素で、DNA(又はその断片)を消化する。制限部位でのDNAの加水分解が、FOXL−2、ONECUT1、TFAP2E(プロモータ又はその調節因子を含む)、及びEN2−2、EN2−3、SHOX2−2及びBARHL2から成る群から選択される少なくとも1つの遺伝子又はゲノム配列の特定のCpGジヌクレオチドのメチル化状況の情報を与えるように、消化が行われる。]
[0159] 好ましくは、メチル化特異的制限酵素は、Bsi E1、Hga I HinP1、Hpy99I、Ava I、BceAI、Bsa HI、BisI、BstUI、BshI236I、AccII、BstFNI、McrBC、GlaI、MvnI、HpaII(HapII)、HhaI、AciI、SmaI、HinP1I、HpyCH4IV、EagI及び2つ以上の上記酵素の組合せから成る群から選択される。制限酵素BstUI、HpaII、HpyCH4IV及びHinP1Iを含有する混合物が好ましい。]
[0160] 任意ではあるが、好ましい実施形態である第4の工程において、制限断片を増幅する。ポリメラーゼ連鎖反応を使用して、これを行うのが好ましく、上記増幅産物は、上述のように好適な検出可能な標識、即ちフルオロフォア標識、放射性核種及び質量標識を保有し得る。増幅酵素と、それぞれの場合で配列番号1〜配列番号7から成る群から選択される配列及びその相補体に相補的であるか、又は適度にストリンジェントな条件又はストリンジェントな条件下でこれとハイブリダイズする少なくとも16ヌクレオチド長の連続した配列を含む少なくとも2つのプライマーとによる増幅が特に好ましい。好ましくは、上記の連続した配列は、少なくとも16ヌクレオチド長、20ヌクレオチド長又は25ヌクレオチド長である。代替的な実施形態では、上記プライマーは、断片と連結した任意のアダプタに相補的であり得る。]
[0161] 第5の工程において、増幅産物を検出する。これらに限定されないが、例えばゲル電気泳動解析、ハイブリダイゼーション解析、PCR産物内の検出可能なタグの組み込み、DNAアレイ解析、MALDI又はESI解析等の当該技術分野で標準的な任意の手段によって検出が行われ得る。好ましくは、それぞれの場合で配列番号1〜配列番号7から成る群から選択される配列及びその相補体に相補的であるか、又は適度にストリンジェントな条件又はストリンジェントな条件下でこれとハイブリダイズする少なくとも16ヌクレオチド長の連続した配列を含む少なくとも1つの核酸又はペプチド核酸とのハイブリダイゼーションによって、上記検出が行われる。好ましくは、上記連続した配列は、少なくとも16ヌクレオチド長、20ヌクレオチド長又は25ヌクレオチド長である。]
[0162] 被験者試料から得られるゲノム核酸のメチル化状態又はメチル化レベルの決定の後に、配列番号1〜配列番号7の少なくとも1つのCpGジヌクレオチド配列のメチル化状態若しくはレベル、又はその平均、又は配列番号1〜配列番号7の複数のCpGジヌクレオチド配列の平均メチル化状態を反映する値に基づき、被験者が細胞増殖性障害、好ましくは表2に記載の障害(最も好ましくは肺癌)を患う危険性若しくは危険性の増大又はこのような細胞増殖性障害の存在を推測し、ここでメチル化は、細胞増殖性障害、好ましくは表2に記載の障害(最も好ましくは肺癌)の存在に関連する。定量的手段によって上記メチル化を決定し、上記メチル化の存在を決定するためのカットオフ値は0であるのが好ましい(即ち、試料は任意のメチル化度を示し、解析されるCpG位置でメチル化状況を有すると決定される)。それにもかかわらず、当業者は、特に好ましい感度又は特異度のアッセイを与えるために、上記カットオフ値を調整することを望み得ると予測される。したがって、上記カットオフ値は増大してもよく(このようにして特異度を増大させる)、上記カットオフ値は、0%〜5%、5%〜10%、10%〜15%、15%〜20%、20%〜30%及び30%〜50%から成る群から選択される範囲内にあり得る。カットオフ値は、10%、15%、25%及び30%が特に好ましい。]
[0163] FOXL−2、ONECUT1、TFAP2E(プロモータ又はその調節因子を含む)、及びEN2−2、EN2−3、SHOX2−2及びBARHL2から成る群から選択される少なくとも1つの遺伝子又はゲノム配列のメチル化及び/又は発現の決定の際に、細胞増殖性障害の有無、又は被験者が細胞増殖性障害、好ましくは表2に記載の障害(最も好ましくは肺癌)を患う危険性の増大を決定し、ここで高メチル化及び/又は低発現が、細胞増殖性障害の存在、及び/又は被験者がこのような障害、好ましくは表2に記載の障害(最も好ましくは肺癌)を患う危険性の増大の存在を示し、低メチル化及び/又は過剰発現が、被験者内での細胞増殖性障害の非存在、及び/又は被験者がこのような障害、好ましくは表2に記載の障害(最も好ましくは肺癌)を患う危険性の増大の非存在を示す。上記増殖性障害が肺腺癌、大細胞肺癌、肺扁平上皮癌及び小細胞肺癌から成る群から選択される肺癌であるのが特に好ましい。]
[0164] 危険性の増大は、同じ年齢群における同じ性別の集団の平均危険性よりも危険性が少なくとも2倍高いと理解される(ここで被験者は、解析する被験者よりも最大で年齢が5歳上又は5歳下でなければ同じ年齢群に属する)。]
[0165] さらなる改善点
開示された本発明は、ゲノムの配列番号1〜配列番号7に由来する処理核酸であって、この処理が、ゲノムDNA配列の少なくとも1つの非メチル化シトシン塩基を、ウラシル、又はハイブリダイゼーションに関してシトシンと検出可能に異なる検出可能な別の塩基に変換するのに適した、配列番号1〜配列番号7に由来する処理核酸を提供する。対象となるゲノム配列は、1つ又は複数の連続したメチル化CpG位置を含み得る。上記処理は、重亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、二亜硫酸塩及びその組合せから成る群から選択される試薬の使用を含むのが好ましい。しかし、上記処理は、(重亜硫酸処理の代わりに)適切な酵素処理を含んでもよく、これにより異なる塩基対合挙動の塩基対への非メチル化シトシンの変換がもたらされる。本発明の好ましい実施形態では本発明は、配列番号8〜配列番号35から成る群から選択される配列の少なくとも16ヌクレオチド塩基長の連続した配列を含む非天然修飾核酸を提供する。本発明のさらに好ましい実施形態では、上記核酸は、配列番号8〜配列番号35で開示された核酸配列のセグメントの少なくとも50塩基対長、100塩基対長、150塩基対長、200塩基対長、250塩基対長又は500塩基対長である。配列番号1〜配列番号7ではなく、配列番号8〜配列番号35の配列の全て若しくは一部と同一若しくは相補的な核酸分子、又は他の天然DNAが特に好ましい。]
[0166] 上記配列は、少なくとも1つのCpGジヌクレオチド、TpAジヌクレオチド又はCpAジヌクレオチド及びこれに相補的な配列を含むことが好ましい。配列番号8〜配列番号35の配列によって、配列番号1〜配列番号7の核酸の非天然修飾型が与えられ、各ゲノム配列の修飾によって、以下のように上記ゲノム配列に特有で、且つこれとは異なる配列を有する核酸が合成される。各センス鎖のゲノムDNA(例えば配列番号1〜配列番号7)に対して、4つの変換型が開示される。「C」が「T」に変換するが、「CpG」は「CpG」のままである(即ち、ゲノム配列に関して、CpGジヌクレオチド配列の全ての「C」残基がメチル化し、したがって変換しない場合に対応する)第1の型が与えられ、第2の型は、開示されたゲノムDNA配列の相補体(即ちアンチセンス鎖)を開示し、「C」が「T」に変換するが、「CpG」は「CpG」のままである(即ち、CpGジヌクレオチド配列の全ての「C」残基がメチル化し、したがって変換しない場合に対応する)。配列番号1〜配列番号7の「上方メチル化」変換配列は、配列番号8〜配列番号21に対応する。「CpG」ジヌクレオチド配列のものを含む全ての「C」残基に関して「C」が「T」に変換される(即ちゲノム配列に関して、CpGジヌクレオチド配列の全ての「C」残基が非メチル化している場合に対応する)各ゲノム配列の化学変換した第3の型が与えられ、各配列の化学変換した最後の型は、開示されたゲノムDNA配列の相補体(即ちアンチセンス鎖)を開示し、「CpG」ジヌクレオチド配列のものを含む全ての「C」残基に関して「C」が「T」に変換される(即ち各ゲノム配列の相補体(アンチセンス鎖)に関して、CpGジヌクレオチド配列の全ての「C」残基が非メチル化している場合に対応する)。配列番号1〜配列番号7の「下方メチル化」変換配列は、配列番号19〜配列番号30に対応する。]
[0167] 重要なことは、これまで配列番号8〜配列番号35に記載の核酸配列及び分子は、細胞増殖性障害、好ましくは表2に記載の障害(最も好ましくは肺癌)の検出又は診断に関与又は相関していなかった。細胞増殖性障害は、肺腺癌、大細胞肺癌、肺扁平上皮癌及び小細胞肺癌から成る群から選択される肺癌が特に好ましい。]
[0168] 代替的な好ましい実施形態において、本発明は、配列番号1〜配列番号35に従って、ゲノムDNA又は処理(化学修飾)DNA内のシトシンのメチル化状態を検出するために、本発明の方法で使用するのに適したオリゴヌクレオチド又はオリゴマーをさらに提供する。上記オリゴヌクレオチド又はオリゴマー核酸は、新規の診断手段を提供する。上記オリゴヌクレオチド又はオリゴマーは、配列番号8〜配列番号35の処理核酸配列及び/又はこれに相補的な配列、若しくは配列番号1〜配列番号7のゲノム配列及び/又はこれに相補的な配列と同一であり、(本明細書で上記で規定のように)適度にストリンジェントな条件又はストリンジェントな条件下でこれとハイブリダイズする少なくとも9ヌクレオチド長の核酸配列を含む。]
[0169] したがって本発明は、適度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件及び/又はストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で配列番号1〜配列番号35の配列の全て若しくは一部、又はその相補体とハイブリダイズする核酸分子(例えばオリゴヌクレオチド及びペプチド核酸(PNA)分子(PNA−オリゴマー))を含む。適度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件及び/又はストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で配列番号1〜配列番号7ではなく、配列番号8〜配列番号35の配列の全て若しくは一部、又は他のヒトゲノムDNAとハイブリダイズする核酸分子が特に好ましい。]
[0170] ハイブリダイズする核酸の同一部分又はハイブリダイズ部分は典型的に、少なくとも9ヌクレオチド長、16ヌクレオチド長、20ヌクレオチド長、25ヌクレオチド長、30ヌクレオチド長又は35ヌクレオチド長である。しかし、より長い分子が本発明に有用であり、このため本発明の範囲内である。]
[0171] 好ましくは、本発明のハイブリダイズする核酸のハイブリダイズ部分は、配列番号8〜配列番号35の配列若しくはその一部、又はその相補体に対して少なくとも95%、又は少なくとも98%、又は100%同一である。]
[0172] 本明細書に記載の種類のハイブリダイズする核酸は、例えばプライマー(例えばPCRプライマー)、又は診断プローブ若しくはプライマーとして使用することができる。好ましくは、ストリンジェントな条件下で、オリゴヌクレオチドプローブと核酸試料とのハイブリダイゼーションを行い、プローブは、標的配列と100%同一である。核酸二本鎖又はハイブリッド安定性は、溶融温度即ちTmで表し、これはプローブが標的DNAから解離する温度である。この溶融温度は、要求されるストリンジェントな条件を規定するのに使用する。]
[0173] 同一ではなく、配列番号1〜配列番号7の対応配列に関連し、実質的にこれと同一である標的配列(対立遺伝子変異型及びSNP等)に関して、初めに相同ハイブリダイゼーションだけが特定濃度の塩(例えばSSC又はSSPE)で起こる最小温度を確立することが有用である。それから、ミスマッチが1%であると仮定すると、Tmが1℃減少し、そのためハイブリダイゼーション反応の最終洗浄の温度が減少する(例えば、プローブとの同一性が95%を超える配列が求められる場合、最終洗浄温度は5℃減少する)。実際、Tmの変化は、1%のミスマッチ当たり0.5℃〜1.5℃であり得る。]
[0174] 例えば配列番号1を参照してポリヌクレオチド位置によって示されるように、X(ヌクレオチド)長の本発明のオリゴヌクレオチドの例には、長さがXの連続した重複オリゴヌクレオチドの組(センス組及びアンチセンス組)に対応するものが含まれ、ここで、連続して重複した各組内のオリゴヌクレオチド(所定のX値に対応する)が、ヌクレオチド位置からZ個のオリゴヌクレオチドの有限組と規定される:
n〜(n+(X−1))
(式中、n=1、2、3、・・・(Y−(X−1))、
Yは配列番号1の(ヌクレオチド又は塩基対)長に等しく(3905)、
Xは、この組における各オリゴヌクレオチドの一般的な(ヌクレオチド)長に等しく(例えば、連続して重複した20−merの組ではX=20)、且つ
長さがYの所定の配列番号1に対する、長さがXの連続して重複したオリゴマーの数(Z)は、Y−(X−1)に等しい)。例えばX=20の場合、配列番号1のセンス組又はアンチセンス組のいずれかに関して、Z=3905−19=3886である。]
[0175] 好ましくはこの組は、少なくとも1つのCpGジヌクレオチド、TpGジヌクレオチド又はCpAジヌクレオチドを含み、このため何れの場合でも変換されずに少なくとも1つの(メチル化又は非メチル化)CpGを含む変換された標的DNA領域とハイブリダイズするこれらのオリゴマーに限定される。]
[0176] 本発明の20−merオリゴヌクレオチドの例としては、配列番号1を参照してポリヌクレオチド位置で示される以下の組の3905個のオリゴマー(及びこれに相補的なアンチセンス組)が挙げられる:
1〜20、2〜21、3〜22、4〜23、5〜24、・・・及び3886〜3905。]
[0177] 好ましくはこの組は、少なくとも1つのCpGジヌクレオチド、TpGジヌクレオチド又はCpAジヌクレオチドを含み、このため何れの場合でも変換されずに少なくとも1つの(メチル化又は非メチル化)CpGを含む変換された標的DNA領域とハイブリダイズするこれらのオリゴマーに限定される。]
权利要求:

請求項1
被験者から単離した生体試料において、FOXL−2、ONECUT1、TFAP2E、EN2−2、EN2−3、SHOX2−2及びBARHL2から成る群から選択される少なくとも1つの遺伝子若しくはゲノム配列の発現レベル又はシトシンメチル化の状況若しくはレベルを決定する工程を含み、高メチル化及び/又は低発現が、前記細胞増殖性障害の存在の指標となる、被験者において細胞増殖性障害、好ましくは肺癌の存在を検出する方法。
請求項2
前記細胞増殖性障害が癌である、請求項1に記載の方法。
請求項3
前記細胞増殖性癌が肺癌である、請求項1に記載の方法。
請求項4
FOXL2、ONECUT1、TFAP2E及びBARHL2から成る群由来の少なくとも1つの遺伝子から転写されるmRNAの有無又はレベルを検出する工程によって、前記発現レベルを決定する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
請求項5
FOXL2、ONECUT1、TFAP2E及びBARHL2から成る群由来の少なくとも1つの遺伝子によってコードされるポリペプチド又はその配列の有無又はレベルを検出する工程によって、前記発現レベルを決定する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
請求項6
前記遺伝子又はゲノム配列の少なくとも1つ内のCpGメチル化の有無又はレベルを検出する工程によって、前記メチル化のレベル又は状況を決定し、メチル化の存在又はレベルが前記被験者内での前記細胞増殖性障害の存在を示す、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
請求項7
前記被験者から得られた生体試料から単離したゲノムDNAを、該ゲノムDNAの少なくとも1つの標的領域内でメチル化CpGジヌクレオチドと非メチル化CpGジヌクレオチドとを識別する、少なくとも1つの試薬又は試薬群に接触させる工程であって、該標的領域が、配列番号1〜配列番号7の少なくとも16個の連続したヌクレオチドの配列を含むか、又はストリンジェントな条件下でこれとハイブリダイズし、前記連続したヌクレオチドがCpGジヌクレオチド配列を少なくとも1つ含む、接触させる工程、並びに前記標的領域がメチル化しているか否か、又はどの程度メチル化しているかを検出する工程であって、これによって前記細胞増殖性障害を検出することができる、検出する工程、を含む請求項1〜3のいずれか一項に記載の細胞増殖性障害を検出する方法。
請求項8
a)ゲノムDNAを該被験者から得られた生体試料から抽出、又は単離する工程、b)a)のゲノムDNA又はその断片を、1つ又は複数の試薬で処理する工程であって、その5位がメチル化していないシトシン塩基を、ウラシル塩基又はハイブリダイゼーション特性の観点からシトシンと異なることが検出可能な別の塩基に変換することによる、処理する工程、c)該処理ゲノムDNA又はその処理断片を、増幅酵素及び配列番号8〜配列番号35から成る群から選択される配列に相補的であるか、又は適度にストリンジェントな条件若しくはストリンジェントな条件下でこれらとハイブリダイズする少なくとも9ヌクレオチドの連続した配列及びその相補鎖を含む少なくとも1つのプライマーに接触させる工程であって、該処理ゲノムDNA又はその断片のいずれかを増幅し、少なくとも1つの増幅産物を産出するか又は増幅しない、接触させる工程、並びにd)前記増幅産物の有無又は特性に基づき、配列番号1〜配列番号7の少なくとも1つのCpGジヌクレオチドのメチル化状態若しくはレベル、又はその平均、又は配列番号1〜配列番号7の複数のCpGジヌクレオチドの平均メチル化状態若しくはレベルを反映する値を決定する工程であって、細胞増殖性障害の検出又は診断の少なくとも一方を可能にする、決定する工程、を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の細胞増殖性障害を検出する方法。
請求項9
b)の該ゲノムDNA又はその断片を処理する工程が、重亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、二亜硫酸塩、硫酸アンモニウム又は硫酸グアニジン、及びこれらの組合せから成る群から選択される試薬の使用を含む、請求項8に記載の方法。
請求項10
該被験者から得られた該生体試料が、細胞若しくは細胞株、組織断片、生検、パラフィン包埋組織、体液、血漿、血清、全血、単離血球、唾液及び口腔上皮又は気管支洗浄、気管支肺胞洗浄、気管支擦過及び気管支掻爬を含む肺で得られる生体物質(例えば体液又は細胞)並びにこれらの組合せを含む群から選択される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
請求項11
a)ゲノムDNAを該被験者から得られた生体試料から抽出、又は単離する工程、b)a)のゲノムDNA又はその断片を、1つ又は複数のメチル化感受性制限酵素で消化する工程、b)のDNA制限酵素消化物を、増幅酵素及び配列番号1〜配列番号7のCpGジヌクレオチドを少なくとも1つ含む配列の増幅に適した少なくとも2つのプライマーに接触させる工程、並びにc)増幅産物の有無に基づき、配列番号1〜配列番号7の少なくとも1つのCpGジヌクレオチドのメチル化状態若しくはレベルを決定する工程であって、これによって細胞増殖性障害の検出又は診断の少なくとも一方が可能になる、決定する工程、を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の細胞増殖性障害を検出する方法。
請求項12
配列番号14〜配列番号17、配列番号20及び配列番号21、配列番号28〜配列番号31、配列番号34、配列番号35から成る群から選択される処理ゲノムDNA配列の少なくとも16個の連続したヌクレオチド、及びそれらに相補的な配列を含む核酸。
請求項13
配列番号14〜配列番号17、配列番号20及び配列番号21、及び配列番号28〜配列番号31、及び配列番号34及び配列番号35から成る群から選択されるDNA配列の少なくとも50個の連続したヌクレオチド、及びそれらに相補的な配列を含む核酸。
請求項14
該連続した塩基配列が、少なくとも1つのCpGジヌクレオチド配列、TpGジヌクレオチド配列又はCpAジヌクレオチド配列を含む、請求項12又は13に記載の核酸。
請求項15
診断手段として使用するための、配列番号8〜配列番号35から成る群から選択される処理ゲノムDNA配列の少なくとも16個の連続したヌクレオチド、及びそれらに相補的な配列を含む核酸。
請求項16
肺癌を診断する診断手段として使用するための、配列番号8〜配列番号35から成る群から選択される処理ゲノムDNA配列の少なくとも16個の連続したヌクレオチド、及びそれらに相補的な配列を含む核酸。
請求項17
請求項6に記載の方法を行うのに適したキットであって、(a)重亜硫酸試薬と、(b)前記重亜硫酸試薬及び該患者の生体試料を収容するのに適したコンテナと、(c)それぞれの場合で配列が、配列番号14〜配列番号17、及び配列番号28〜配列番号31から選択される配列の9塩基長又はより好ましくは18塩基長のセグメントと同一であるか、又はこれに相補的であるか、又はストリンジェントな条件若しくは高ストリンジェントな条件下でこれとハイブリダイズする、2つのオリゴヌクレオチドを含有する少なくとも一組のオリゴヌクレオチドとを含む、請求項6に記載の方法を行うのに適したキット。
請求項18
肺癌の診断及び/又は検出又は識別における請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法、請求項12〜14のいずれか一項に記載の核酸、及び/又は請求項17に記載のキットの使用。
請求項19
被験者から単離した生体試料においてFOXL−2、ONECUT1、TFAP2E、EN2−2、EN2−3、SHOX2−2及びBARHL2から成る群から選択される、少なくとも1つの遺伝子又はゲノム配列の発現レベル又はシトシンメチル化の状況若しくはレベルを決定する工程を含み、高メチル化及び/又は低発現が前記危険性の指標である、被験者が細胞増殖性障害、好ましくは肺癌を患う危険性を検出する方法。
請求項20
前記危険性が危険性の増大である、請求項19に記載の方法。
請求項21
前記メチル化のレベル又は状況が、前記遺伝子又はゲノム配列の少なくとも1つ内のCpGメチル化の有無を検出する工程により決定され、メチル化の存在又はレベルが、前記被験者が前記細胞増殖性障害を患う危険性又は危険性の増大を示す、請求項19に記載の方法。
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